「ドリームキャッチャー」ブニュエル ソロモン王の秘宝 jarinkochieさんの映画レビュー(感想・評価)
ドリームキャッチャー
老ブニュエルが 若い頃の自分と友人を主役にした映画の構想を練り始める
それは映画の構想を練る3人が
ユダヤ人の陰謀により(←仕事依頼のプロデューサーがモデル)
〈ソロモンの秘宝〉探しに誘導されてゆく… というものだった、が…
ベッドメイキングに来たメイドに魅了された彼は
さっそく構想に登場させ静かに股間に手をのばす…
構想とは妄想か?
タベラ枢機卿の墓でイメージを膨らませ
震えるダリとロルカをよそに
金髪案内人の尻をそっと触るブニュエル
三方向に分かれ各々の闇を訪ねる処でも
彼だけは女性の後を追っていってしまう…
ダリとロルカのデリケートさに比べ、やや図太いブニュエル
どうしても女性に引き寄せられていってしまうブニュエル
この図太さと好奇心と本能が
「ビリディアナ」という問題作を作ることが出来た一因のような気がした
真摯にカトリックも探究する彼がテラス席で司教と議論を交わす
ロルカが同時に詩を朗読しちゃうのが可笑しい
さすがフラメンコ3部作を作ったサウラ監督らしく
ロルカの闇(彼にはない)の場面での歌と踊りには魅了された
「ビリディアナ」は宗教界にとって〈悪夢〉?
彼等はその探究心を利用され〈秘宝〉をエサに
ドリームキャッチャーのような迷路に〈秘宝〉と共に〈宗教界の悪夢なので〉閉じ込められてしまう… という構想になってしまった!
自由連想法の活用みたいなものによる自身の抑圧のあぶり出しにも呆然とするブニュエル
サウラ監督の幾重にも織りなされたファンタジー映画(?)みたいだった
ペーソスみたいなものも感じさせる
小ネタも満載で面白かった
(宗教ネタはついていけなかった… )
ロルカに捧げられた歌はカンテ・ボンド(深い歌)というものだろうか
暗殺後、彼も作品も長い間封印されてしまった
〈現在-過去-未來を映し出す鏡〉は映画のようでもあり 映画と映画人の未来をサウラと劇中のブニュエルは危惧していたようにも見えた