「最高の青春SF恋愛映画に出会った」サマーフィルムにのって といぼ:レビューが長い人さんの映画レビュー(感想・評価)
最高の青春SF恋愛映画に出会った
映画好きがハマってしまう要素がてんこ盛りで、普段から映画を観ている人ほど刺さる描写が多い。終盤はずっと泣いてた。良すぎて。キラキラ青春恋愛映画をどこか馬鹿にしている私のような映画オタクが「キラキラ青春恋愛映画もいいじゃん」と、価値観を塗り替えられるほどに素晴らしかった。
恋愛も友情も青春もSFも映画も時代劇も。様々な要素を詰め込み、尚且つ映画としてきちんと成立させているのが本当に素晴らしい。
細かいところまで観れば正直違和感や不満点があることは認めつつも、それ以外の部分の面白さが素晴らしすぎるので、これは高評価をせざるを得ないでしょう。減点箇所が15点あるけどそれ以外部分で5億点です。
・・・・・・・・・・
時代劇をこよなく愛する女子高生のハダシ(伊藤万理華)は高校の映画部に所属して時代劇を作ろうとしていたが、文化祭で上映する映画のコンペでキラキラ恋愛映画が好きなカリスマギャルの花鈴(甲田まひる)に敗れ、時代劇を作れなくなってしまう。更には主人公役に適任の生徒が見つからないこともあって映画製作のモチベーションはすっかり消えかけていたハダシの前に、主人公にピッタリの顔立ちの青年・倫太郎(金子大地)が現れる。半ば強引に倫太郎を映画製作に勧誘したハダシはメンバーをかき集め、自費で時代劇の製作に取り掛かる。
・・・・・・・・・・・
この映画を観た時に思ったのが「『あの夏で待ってる』みたいな映画だ」ということでした。
『あの夏で待ってる』という作品は2012年に公開されたテレビアニメで、「高校生の仲良しグループの男女が夏休みに映画製作をする」という話なんです。たまたま見掛けた転校生の先輩に一目ぼれして映画の主演に勧誘するとか、その先輩は実は宇宙人であまり長く彼らと一緒にいられないとか、本作と類似するシーンが非常に多い作品です。私は『あの夏で待ってる』を毎年夏になると鑑賞するくらい大好きなので、本作を鑑賞した時には類似点の多さに驚きました。
もちろん「パクリだ」などと言うつもりは毛頭なく、むしろ似たような設定でありながら作品の展開は全く逆方向に進みますので、どちらの作品も私に刺さる青春作品だと思います。本作を観て気に入った方は、ぜひ『あの夏で待ってる』も鑑賞してみてください。
本作の素晴らしさは語りつくせません。役者も良い。脚本も良い。演出も良い。ラストシーンが良い。
何より良かったと思うのが、ハダシと花鈴の対比ですね。
当初は花鈴の作るキラキラ青春映画を目の敵にしていたハダシですが、実際にハダシが撮影を始めると色々とトラブルが続出します。ハダシはたった7人のクルーだけでも苦労していますが、花鈴は20人近い映画クルーを見事にまとめ上げている。そして終盤では、彼女は彼女なりの映画に対する信念を持って映画製作に取り組んでいることが分かります。だんだんと、「花鈴って凄い人だったんだ」と分かる展開。こういう価値観の転換が映画の醍醐味でもありますので、私は非常に良かったと感じました。
本当に素晴らしい作品でした。今年も半分残した状態ではありますが、今年ベストの映画を見つけてしまったかもしれません。オススメです!!
> それ以外部分で5億点です
あはは。いいですね、それ。
> 『あの夏で待ってる』も鑑賞してみてください
それは、観ない訳にはいかないですね。教えてくれて.ありがとうございます!