「未来じゃなくて今を憂えよ」サマーフィルムにのって たこえびさんの映画レビュー(感想・評価)
未来じゃなくて今を憂えよ
全然面白くない!とは思わなかったのですが、壊滅的な点があったのでそれだけ書きます。
①主人公に魅力がない
主人公=ハダシ です。
これは観た方全員が思ったでしょうが、
「時代劇=映画」じゃねえ!!!!!!!
彼女が好きなのは時代劇映画であって映画全般ではない。
(加えて言うと地上波とかの時代劇も好きじゃなさそう)
なのに、「未来に映画がないこと」にあれだけのダメージを受けるわけですよ。
おいおいちょっと待てと。そもそも現在時点において時代劇は絶滅しかけているだろなぜその点に言及しないのか、と。
地上波では放送せず、劇場でもほぼ無く、専門チャンネルくらいでしか残っていない現在のことを先ず憂うべきだよ。。。
このあたりが時代劇→映画とごまかした制作陣のツケを払わされていて、主人公像の浅さにつながっています。
根底に映画愛がない(時代劇愛はある)キャラクターになってしまっている。
そんな彼女を象徴するかのように人望がない。
映画部でコンペしたときに彼女の作品には彼女しか投票していないんです。
映画部なんてあんなキラキラしたカースト上位の人間ばかりで構成されるわけないのだから、
花鈴のこと嫌いな人間もいるわけですよ。
でもハダシには票が入らない。別のベクトルで浮いていて人望がないから。
なんであんなにスタッフ・キャストを集められるかが謎ですね。
(好意的に補完するなら、ブルーハワイにめちゃくちゃ人望があるためですが。。。)
ハダシ監督についてくる理由がよく分かりません。
②やりたいことが多すぎる
結局なにを伝えたかったのでしょうか。
青春、恋愛、SF、メッセージ...
個人的には
業界の方の、各種動画サイト隆盛に対する(くだらねえ)メッセージが根底にあると思っています。
だから時代劇愛を映画愛にすり替えたりして薄っぺらくなる。
あとは青春だからと言って色々盛り込みすぎ。焦点を絞ってくれ。
例えば、恋愛でもいいのですが、
憧憬・尊敬(凛太郎→ハダシ)に対する恋愛感情の勘違い(ハダシ→凛太郎)とか、興味と恋愛感情の誤認(ビート板→凛太郎)とかの、
恋に恋するお年頃ならではの感じをやるならきっちり描写しなければいけないのに、あの程度で済ますからぼやける。。。
さいごに、
役者の演技に違和感があったり、台詞で説明しすぎるところは「高校生が撮った映画」についてのメタ構造でしょうか。それならば演出としては良いなと思いました。
脇役の絡みや、音楽がよかっただけに残念です。(なんで脇役にはうまくキャラ付けできているのに主役はああなるの?)