「現役の高校生なら楽しめるの?」サマーフィルムにのって 落ち穂さんの映画レビュー(感想・評価)
現役の高校生なら楽しめるの?
監督の女子高生が学園祭用映画の主役に抜擢した男の子が好きでした、ただそれだけの話。そんなのわかっとるわい!
別にその映画が時代劇である必要も、主役が未来から来た男である必要も、恋愛路線の映画を作る美人のライバルがいる必要もない。
また、未来が、タイムマシンを自由に使える高度な文明にありながら、食事の楽しみもなく映画もないというかなり暗く重い設定なのに、未来人はあっけらかんとして明るいのが、かなり不気味というか違和感があった。どのくらいのスパンで先の未来なのかわからないが、昭和の名画がほとんどないのに令和に作られた主人公の映画は残っているという設定も謎過ぎる。未来で巨匠だからか?
主人公は学園祭で上映中の自主映画をラスト前で止めてしまい、このラストを撮り直すとか言って、みんなの前で未来人に告白しながらチャンバラするが、私が観に来ていた学生なら呆れて帰るよ?
というか、自分がとっくにいない遥か遠い未来に映画という文化がないということにショックを受けるより、自分が将来映画監督の巨匠になるという事実のほうが余程重くないの?知ってしまったプレッシャーやジレンマが一生ついてまわり、未来への過信から傲慢になったり懐疑的になったりと常に悩み苦しむ将来となるのは、高校生なら容易に想像つくはずでしょう?
とはいえ、かなり強引な性格の主人公なので、巨匠になるのは既定路線だから気にもならないってところなのかもしれない。そんなことより未来に帰っちゃう彼に告白をするのが、今一番大切ってことなのかな。現役高校生なら共感できるんだろうか?
ということで、私は主人公に全く共感できなかったし、物語自体も浅いと思った。