「結局、大好きってしかいえねーじゃん!」サマーフィルムにのって カツベン二郎さんの映画レビュー(感想・評価)
結局、大好きってしかいえねーじゃん!
アマチュア映画も今ではスマホで撮影するのかと感心しつつも、概ね面白く観ることができた。
最も賛否が分かれるラストの展開については、いくら時代劇オタクであろうが、何だかんだ言ってもイマドキの女子高校生なので、何よりも好きになったこの気持ちを真正面から相手にぶつけたい、という大オチに対しどう表現するかということかと思うが、あそこまで強引にドラマティック仕立てにする必要があったのかは疑問が残るところだ。
個人的には悩んだ末にやっと書けた脚本なのでまずは最後まで上映した方が効果としてはあったのではないかと思っている。
金子大地は鬱屈し内に籠るような繊細な役を演じさせれば一級だが、本作の凛太郎のように簡単に自分の重大な秘密を明かし、未来では映画が無くなっているなどとあっけらかんと口走るような鈍感で明るい役柄も案外上手だということがわかった。
両脇を固めたビート板とブルーハワイ役の子達はそれぞれ凛太郎と恋愛ドラマが好きであるという事を表に出せず、葛藤しつつも自分たちなりに対処していく様を誠実に演じ、ザ・女子高生という雰囲気をしっかりと出していた。
さて主演の伊藤万理華だが、演技がそれほど上手ではなく、いくら時代劇オタクとは言え高校生らしい溌剌とした感じも受けられなかったことが大変残念に思った。
他の鑑賞者同様私自身も昔高校生だった訳だが、この映画を見て今の自分と照らし合わせ、若く元気で無知で無鉄砲だったあの頃を懐かしむと言った青春映画の醍醐味をこの主人公ではどうしても味わうことができなかった。
猫背で若いのか年寄りなのかわからないビジュアルがどうしてもこの大事な感情を持つ事に対し邪魔をしてしまった。
先に鑑賞した「子供はわかってあげない」で同じ高校生役を演じた上白石萌歌さんのみずみずしいく等身大の演技を観た後であったこともそんな評価に影響したのかもしれない。
主役以外もとても高校生には見えにくい役者さんを多く当てている事も面白みを半減させた要因だと思う。
特に板橋駿谷(良い役者さんなのはわかってます)に至っては調べたら37才であった。
どうせ無名の役者さんを多く起用するならもう少しやり方があったのではなかろうかと思った。