「クライマックスのウルトラC的展開に心が浄化」サマーフィルムにのって 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
クライマックスのウルトラC的展開に心が浄化
今年観た映画で、もしかすると一番心を揺さぶられたんじゃないか。クライマックスで生じるとんでもない飛躍と、ああ、こういう無茶を押し通すエモーションのために自分は映画を観ているのだなあという悦び。飛び道具のような強引さをアリにしてしまう、若い役者たちの本気の佇まい。わけもわからず涙ぐみ、エンドクレジットが終わっても余韻がずっと続くような映画だった。
ただ、主に笑いの取り方に関する演出や演技はいささか陳腐だと思うし、正直、映画を観ている8割くらいの時間は「肌に合わないものを観に来てしまった」と後悔すらしそうになった。それでもハダシやビート板やブルーハワイ(このネーミング最高だな)のキャラの高感度まで終盤まで付き合った感はあったのだが、それもすべて報われるくらいのウルトラCだった。
もちろんこのラストから逆算して作られてるのは明らかだと思うので、まんまと作り手に乗せられて、気持ちよく降参しました。われながらチョロいなとも思けれど、粗を超えてくる映画は時に完璧な映画よりも強い。
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