「好きって言わずに好きを伝えるのが映画だろう」サマーフィルムにのって 東鳩さんの映画レビュー(感想・評価)
好きって言わずに好きを伝えるのが映画だろう
好きって言わずに好きを伝えるのが映画だろう
という作劇論の初歩の初歩を冒頭で主人公が発したのと、同じく主人公がキラキララブコメ映画を低レベルだと批判していたので、じゃあ今作は脚本の粗は無く安心して観られるんだなと思っていたら、まあ脚本の粗がすごいです……
主人公から脇役まで、セリフは語り過ぎで説明的、なんなら主人公は最後に好きな人に対して「好き」とセリフで言ってしまいました
これには口あんぐりです
本当は星2つぐらいなんですけど、自分で掲げた禁止行為を平気で犯してしまう図太さというか、他人に厳しく自分に甘々というか、自分が1番ダサいのに他人のこと平気でダサいと言ってるような作り手の感じにイラッとしたので、星0.5にします
ゼロでもいいけど付け方が分かりません
内容は精神年齢も偏差値も低いであろうキャラクターたちがよってたかって、超ご都合で主人公に協力的に動きます
90分ぐらいで短い話ですが、それでもカットすべき脂肪がすごい多いです
ギャグとかマジで面白いと思ってやってるのか疑問なくらい滑ってるし、そのシーンにいる必要すら無い脇役までいちいち細かく描写して映すからテンポが悪すぎます
主人公に対しての展開がご都合過ぎて対立や葛藤を上手に作れないので、無くてもいいようなやり取りをいちいち描かないと脚本家が90分の時間を持たせられないんだと思います
その割に時代劇やタイムリープなど多牌な要素を青春映画にぶっ込んでるものだから、凄く浅くて薄っぺらい部分しかドラマを描けてません
掘り下げて描くべき部分は、主人公のもっと心の奥底にあるはずなんですが……
シーンやアクションを丁寧に積み重ねて感情表現出来ないから、ここぞという時にまあ主人公がベラベラと喋ること喋ること
ここまで主人公の葛藤を全部主人公のセリフで説明しにいく脚本って逆に見たことないかもしれません
時代劇やSFとか名作映画を色々とオマージュしてるのか分かりませんが、
そういうのを引用したからには今作を勝るとも劣らない名作映画にするべきだと思います
が、座頭市を知ってる俺、カッコいいでしょ?
ハインラインのSF小説読む俺、賢いでしょ?
レベルなんですよね全てが
クラブDJがフロア沸かせてイキッてるけど、他人のレコード流してるだけだよ、それ
名盤レコードばかりをサンプリングしても、自分がゼロから曲を作ったことにはなりませんよ
ポンポさんも同じようなメタフィクションでしたけど、あっちは架空の映画しか出てこないですから
ポンポさんの作り手は、きっとゼロから名作を作りたかったから実在の映画名を出さないんだと思いますよ
あと、主人公がキラキララブコメ映画をバカにする、
イコール監督や脚本家も心のどこかでバカにしてるんだと感じましたが、
多分キラキララブコメ映画を製作している映画人たちの方がよっぽどレベルは上ですよ
この映画よりは脚本のことを分かってないと観客をキュンキュンで喜ばせられないし、
そもそも大衆が望むものが何なのかをちゃんと分かってると思います
分かった上で、あえて外すところは外してるんですから
映画愛とか、映画が好き、ってことがテーマのわりに、
ラブコメ映画をバカにするスタートがそもそもイラついたんですよね私は
ラブコメ映画も立派な映画だろうと
なんで時代劇は良くてラブコメは認めないと線を引いた?
自分の好きな物を語るとき、人の好きな物を引き合いに出してわざわざ否定する必要が一切無いのに
鬼滅の刃やエヴァといった大ヒットアニメ映画を否定する映画人、
深田晃司や河村光庸がいましたけど、
売れてる映画ジャンルそのものを否定してるヤツ、すごいダサいですよ
映画デーだし、ちょうど時間合うし、評判良さそうだからコレを見るか
と思った過去の自分にタイムリープしたいです
この映画を面白いと思う人がいることは否定しません
私には合いませんでした
上辺では敵視していますが心の底からではないのかと。花鈴のように教室のヒロインではなく、キラキラと縁がなかった3人は半ば強がりで「ケッ、こんなもの。」と
言って保っていただけのように思いました。
まあハダシに関しては確かにもう少し前振りが欲しかったかもしれませんね。恋愛っ気ほとんどなかったですものね。(笑
momokichiさんコメントありがとうございます
その展開は知ってますがが、なぜ主人公たちが考えを翻したのかがまったく理解できませんでした
内心で実はキラキラ恋愛映画も好きだったなら、最初はなぜ敵視していたのか?
その心変わりの理由がちゃんと描けていないと思います
ブルーハワイが恋愛映画好きでも、主人公は代役として推薦するような人だったのか?
ブルーハワイが裏切ったと思って主人公がケンカするなら理解できます
要は仲直りの結末に持って行くためのご都合展開にしか思えないわけです
キラキラ恋愛映画を実際に製作している人たちにも怒られたくないから、そういうオチに持って行った感がありありなんですよね
とにかく、小さなウソが多くて無理矢理に風呂敷を畳んでる映画でやっぱり共感できません
悪しからず
きらきら恋愛映画を毛嫌いしてるけれども、自分たちの映画も壁ドンや告白など思いっきりそうなったという点こそが、この映画の仕掛けだと思います。出来上がった映画部本体の作品もいい感じに描いていたし、ハダシと花鈴が一緒に恋愛映画で涙するし、ブルーハワイも実は大好きで出演までしちゃうし。
実は肯定してるんでしょうね。キラキラも。