「“アイドル主演作”という先入観で敬遠してはもったいない」サマーフィルムにのって 高森 郁哉さんの映画レビュー(感想・評価)
“アイドル主演作”という先入観で敬遠してはもったいない
アイドルグループの界隈にあまり詳しくないので、伊藤万理華という存在を認識したのはまず7月に始まったドラマ「お耳に合いましたら。」。そして本作を試写で鑑賞した際に資料を見て、かつて「乃木坂46」のメンバーだったのだと知った。ドラマのエンディングではマリオネット風の動きを取り入れたキュートなダンスを披露しているが、こちらの映画「サマーフィルムにのって」では身体を使った表現があまりないな…と思っていたら、終盤の掃除道具を使った殺陣で大爆発!
率直に言って、設定が多すぎる企画ではある。「座頭市」が代表作の往年の名優・勝新太郎を敬愛する女子高生。彼女が仲間と時代劇映画を撮影する。彼女がイメージする主演俳優にぴったりのイケメン男子がなぜか未来からやって来て、映画に出ることに。下手したら設定過多な絵空事に終わるリスクもあった企画に、伊藤万理華のアイドルらしからぬ身体性が命を吹き込んだ。
甘ったるい青春恋愛物を撮影しているのが映画部内で人気者の美少女部長で、伊藤万理華演じるハダシが地味目の時代劇オタクというコントラストも、ひねりが効いていて楽しい。タイムトラベル要素の軽い扱い方も、今どきだと感じた。
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