「【首筋に優しく夫から息を吹き掛けられながら、極限状態の狂気に覆われた祖国で、息子を探す・・。】」FUNAN フナン NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【首筋に優しく夫から息を吹き掛けられながら、極限状態の狂気に覆われた祖国で、息子を探す・・。】
■物語は1975年4月、首都プノンペンがクメール・ルージュにより、制圧されクンとチョウ夫婦と3歳のソヴァン等、多数の住民が強制労働のため、農村に送られる所から、始まる。そして、途中でソヴァンははぐれてしまう。ポル・ポト等により、結成され知識人を中心に170~200万人が殺害され、国外へ逃亡した者は50万人にも及ぶと、テロップで流れるが、何故同じカンボジア人同士で、かくも、凄惨な殺し合いが起きたのか?については、未だ解明されていない・・。
■印象
・暗い色調の中、頻繁に描かれるカンボジアの長閑な風景
・同じカンボジア人だが、クメール・ルージュの思想に染まったオンカー(革命組織)の姿。生きる為に彼らに媚びる悲しき女のセリフ。
・諦めずに、我が子を探すクンとチョウ夫婦の姿。そして、命懸けで、妻と息子をタイに逃がそうとするクン。
・クメール・ルージュの勢いが衰えて行く中での、共産党幹部の姿。お前も仲間ではなかったか!と言う虐げられていた人々の疑心暗鬼の姿。
<かつては、扶南として栄えていた土地で起こった凄惨な史実を淡々としたトーンで描く作品。彼の出来事を風化させない!と言う意味でも、意義ある作品である。>
<2021年2月21日 刈谷日劇にて、観賞>
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