劇場公開日 2022年8月26日

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「そこそこ微妙な点は残るが、基本的な高評価。」激怒 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0そこそこ微妙な点は残るが、基本的な高評価。

2022年9月5日
PCから投稿

今年264本目(合計540本目/今月(2022年9月度)7本目)。

この監督の方、映画の長編(2時間以上のものをそういうの?)でははじめてとのことです。
そのため、他の方も言われているように確かに描写、ストーリーとも気になる点もあります。

ただ結局は多くの方が触れられている、「支離滅裂な監視社会、思想のおしつけが弱者に与える影響」というテーマは(十分ではないとはしても)描かれている点は高く評価できると思います。

まぁ、ストーリーに関しては確かに若干わかりにくい面(ストーリーが妙に混乱させる。何時何分とか最初出てくるか、この映画は時間トリックが一切入っていない)はあるものの、長編でははじめての監督さんでもあり、「映画の作法」については完全ではないとはいえ7~8割は満たされているといえる現状、そこでの減点幅はあって0.1程度です。

また、ストーリーが言う「こういう仕事(省略、差別的表現)や生活保護者なんていうのは…」といった部分などは、「強い物が弱い物を見るときの言い方」であり、やはりそういう「おかしい背景」(この映画は明らかに「世界観」がくるっていますが、リアルでも、やはり「職業に貴賤」を持ち込む人はいます)が背景にあり、それをテーマにしたかったものの、それだけだとストーリー性にかけるのでいろいろストーリーを肉付けした結果、「やや趣旨がわかりにくい」映画になったのでは、とは思います。

 日本では「ここまで極端な地方自治体」がそもそもリアルで存在しないので完全な共感はできませんが(逆にあったほうが怖い…)、逆に「道徳の押し付け、思想のおしつけ…etcが極端すぎたら?」のifの世界では十分考えうる話であり(だから、突拍子に変な設定とも思えない)、そういう「思想・道徳の極端なおしつけはダメだよ」という点を間接的に述べている点はやはり評価は高いかなというところです。

 あと、他の方も書かれていました、開始のキャラクタ紹介などのカットが素敵です。ああいうのも監督さんのセンスなのでしょうか…。映画って「物語を楽しんでなんぼ」ですが、最初の「つかみ」、換言すればその「開始0~1分」の工夫も結構大切なので、その点でもこの映画は良かったです。

 もちろん、法律的に気になる点はあるのだけど(行政書士持ちとしては気にならざるを得ない)、この映画でそれを論じることは想定されていないと思うので全部飛ばします。
あえていえば「一部、英語が出る(他の方も書かれている通り、主人公は海外に飛ばされた経験があります)が、その字幕がない」点程度ですが、それも英検2級くらいあれば何とでもなる範囲です。

 可もなく不可もなく、「確かに気になる点はあるが、長編初挑戦の監督の方の芽をそこまでつぶすような評価はどうだろう」という点で、私は満点にしました。

yukispica