劇場公開日 2022年8月26日

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「「高橋ヨシキの映画」だった。」激怒 青空ぷらすさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5「高橋ヨシキの映画」だった。

2022年9月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

アートディレクター・映画ライターとして知られる高橋ヨシキ長編デビュー作。
主人公の暴力刑事が治療を受けさせられ――という設定は、高橋ヨシキ版「時計仕掛けのオレンジ」という感じかな。

帰ってきたら彼のいた富士見町がディストピアになっていたという世界観は序盤でその片鱗を見せてこと、今の日本全体を取り巻く“嫌な”空気感を的確に反映していて、監督のデザイン・映像センスが光っているので少々戯画化されている描写も個人的には気にならなかった。
何より、普段自身が映画評などで話している事がしっかり本作に反映されていて個人のキャラクターと映画の間にブレがなく、誠実な印象を受けた。

もちろん、脚本には舌っ足らずなところもあるし、映像も低予算ゆえのショボさは見え隠れするけれど、本作主人公の「怒り」は、高橋ヨシキ本人であり、オタクやLGBT、人種などなど、元総理が望んでいた「美しい国」からはみ出した人々の怒りでもある。
その肝の部分がしっかり描かれているだけで、本作は映画として最高なんじゃないだろうか。

青空ぷらす