「【”警官達は名札を外して、警棒を振りかざしてベトナム戦争に抗議する僕たちに向かって来た・・。” 果たして、アメリカの行政府、司法の根本的な思想は当時から”改正”されているのだろうか・・。】」シカゴ7裁判 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”警官達は名札を外して、警棒を振りかざしてベトナム戦争に抗議する僕たちに向かって来た・・。” 果たして、アメリカの行政府、司法の根本的な思想は当時から”改正”されているのだろうか・・。】
■この作品、映画館で観たかったなあ・・。(嘆息)
◆1968年、ベトナム戦争が泥沼化する中、ジョンソン政権が倒れ、(と言うか、ジョンソン自身が世論を受け、2期目を断念。)ニクソン政権が誕生した端境期に起こった、
第35回民主党大会に、”反ベトナム戦争”をアピールするために立ち上がった若者達3団体と、シカゴ警察との衝突事件の首謀者とされた7人の若者に対する裁判を描いた法廷劇。
当時の映像も織り込みながら、物語は進む。
<Caution ! 以下、内容に触れています。>
■感想
・裁判の主任検事に任命されたシュルツ(ジョセフ・ゴードン=レヴィッド)が、裁判が進行するにつれ、自らが裁こうとしているトム・ヘイデン(エディ・レッドメイン)を始めとする若者たちと、”腐った行政府”との狭間で”淡々と”職責をこなす姿。
ー が、ラスト、彼の取った行動で、彼の心情が分かるシーンが染みる。ー
・愚かしきホフマン判事(フランク・ランジェラ:流石の演技である。彼の愚かしき判事を演じる姿が、この作品を見応えあるものにしている。)の姿。
- 明らかに行政府に与した裁判を展開。反発する被告、クンスラー(マーク・ライランス)、ワイングラス等、弁護団に対し、”法廷侮辱罪”を連発する。
エンドロールで流れる、彼の裁判進行に対する世間の厳しき評価のテロップに、留飲を下げる。-
・ブラック・パンサー党首、ボビー・シール。代理人を付けず法廷に立つ。反抗的な態度を取るボビーに対してホフマン判事が行った事。
- もはや、民主主義国家の裁判ではないな。流石に驚いたシュルツは審理無効を求める・・。-
・クンスラー、ワイングラス、トム・ヘイデンはジョンソン大統領時代、司法長官だったクラークに証言台に立つことを求める。そして、彼は【調査の結果、暴動の原因はシカゴ警察にあった】と勇気を出して、悠然と述べる。
- 狼狽えるホフマン判事。予備審問だから・・、と彼の証言を陪審員に伝えることを拒む。重ねて、民主主義国家の裁判ではないな・・。-
◆後半151日目 <白眉のシーンである。>
被告者代表として最後の意見を述べる、トム・ヘイデンに対し、ホフマン判事の
”君は、公判中、真摯に対応してきた・・云云かんぬん。証言次第では、君の刑期も云々・・”
という傲然とした言葉に対し、トム・ヘイデンは、4752人の、この愚かしき裁判が進行している中、ベトナム戦争で殉死した兵士たちの名前を淡々と読み上げる。
シュルツ主任検事はその言葉に対し、”戦没者たちへの敬意を示し”起立する・・。
<今作を鑑賞するまで、この裁判自体を知らなかった・・。
そして、今作品を観て思う事は、1968年と2020年のアメリカの行政府の愚かさは、全く変わっておらず(と言うか、明らかに悪化している・・。)
司法機関の機能も、RBGさんが亡くなり、愚かしき男の指名により最高裁判事の比率がリベラル派より、保守派が上回る状況になってしまった事は周知の事実である。
バイデン新政権が、どこまで現在のアメリカの軌道修正が出来るのか・・。
何よりも、情けないのが、私の住む居住区の大都会で、年末になって繰り広げられている ”Qアノン日本版” と呼ばれている連中の主張である・・。
新年が来るのに、暗澹たる気持ちである・・。
”世界が見ているんだぞ! 恥ずかしい振る舞いをするな!”>
NOBUさんへ
改めて、あけましておめでとうございます。正月気分が抜けないBloodです!
本気、出そうとしましたが、やはりミリヲタ方面からの知識しかないため雑になってしまいましたw
しかし、この映画。俳優陣と製作陣の本気度がヒシヒシと伝って来る、良い映画でした!