劇場公開日 2020年12月11日

「賛美、批判を両方読んだ後で」天外者(てんがらもん) flatさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5賛美、批判を両方読んだ後で

2020年12月14日
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泣ける

知的

萌える

客観的なご意見を見聞きした事も含めての
私なりの解釈

CGが残念な事
それは番宣素材で既に分かっている事

駆け足感
あの目まぐるしく変わる時代を
そもそも100分程に収める事自体に無理があるのは観る前から分かっていた

歴史的背景
歴史に強い方は?が飛ぶやもしれない(後述あり)
疎い方は置いてけぼりを喰らうのは必至で
作品に込められたメッセージを深く理解できない事も想像できた
そもそも歴史映画ではなく
五代友厚の生き様を描いた作品なのを
忘れてはいけない

追悼作品
結果として追悼になった感は否めないし、
花道をとファンの方が高評価を付けている感も否定はしません。
ただそれが無くてもファンの方は
過去作含めた評価でも高評価だったのでは?
とも感じています

作品をご覧になった方の中に
歴史的な話としてアレ?と
なぜ知事や市長が?思われた方もおいでかと
私も一つあり
大久保利通との絡みが少なかったのが
残念でした。

まずはお時間を頂戴し
「監督が語った三浦さんのこと」月刊創編集長篠田博之氏の記事をご覧頂きたい
作品が立ち上がる経緯から記されてます。

史実に忠実にしてはいるが、
空白の6カ月を利用した
フィクションだという事は
きちんと述べています。

商業ベースで作ろうとした作品ではなく
有志が立ち上げた事から始まったのが
根本にあり、予算が限られている事も
ご理解の上ご鑑賞下さい。
それ故にCGの件や時間の短さも
ある意味仕方ないと理解してます。

商工会等々も絡んでいるので
知事や市長が参加されていると
私なりに理解しましたが、
不要だった派です。

ファンの高評価は
作品の様々な角度からではなく
三浦春馬さんの事前準備や演技の凄みが
随所で感じられる作品だからかと思います。

それは殺陣をはじめ、英語、友人へのオファーによる共演(あくまで私の憶測:有志が立ち上げた商業ベースではないという事で真っ向からオファーをしたら断られる可能性があったから根回ししたかも?と感じてます)
共演者への配慮の数々、
次から次と出る春馬さんのエピソードと共に
座組へのリスペクトも含めた評価も相まっての高評価と感じてます

とはいえ
太刀捌き、時代背景を鑑みた英語の使い分け、
目の芝居、泣き芝居の使い分け、女優を輝かせる演技等々お見事でした。
三浦春馬さんの演技を堪能できたのは
間違いなく
プロの俳優魂なるものを観せて貰いました。

しかし
それだけの為に観るのは勿体ない作品

五代氏の生き様を知る作品であり、
語らずして発せられる数々メッセージを
漏れなく受け取るべき作品でもあると思います

その為には歴史背景において
攘夷派開国派はもちろんの事、
諸外国との事件や薩摩藩をはじめとする
各藩の事、グラバーとは如何なる人物かなど
学校で習ったレベルで大丈夫です。

つまり一般常識はお持ちでしょうから
作中は特段説明演出は端折りますよ
とも取れました。
多数の方は私も含め忘れているでしょうから
事前準備は必要ですよね?

これらをご理解頂いた上でのご感想を
是非お聞きしたい

ここからは私の良かったシーン
(ファンとして色眼鏡かな?)
感想です

あらゆるシーンの
春馬さんの語らない無言の演技は
今作限らず
さすがとしか言いようがない

外国人との英語を話しながらの凄み
髷を落とすシーン
表情と太刀捌きは両シーンとも圧巻

豊子の静かな演技の中に
武士の妻としての気高さと
夫を想う優しい眼差しが交差して
控えめな妻で
美しい空気感に包まれた
二人は羨ましかった

龍馬が才助に言い放つシーン
才助ではなく春馬さん本人が
その言葉にハッとしたのではないかと
アレは演技だったのか演技じゃなかったのか

flat