「【"誰もが夢を持てる国に・・”幕末の日本を列強の侵略から守り、近代日本の礎を築いた稀有な男の姿を描いた作品。身命を賭して守った現代日本の姿を見て、五代はどのように思うのだろうか・・。】」天外者(てんがらもん) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"誰もが夢を持てる国に・・”幕末の日本を列強の侵略から守り、近代日本の礎を築いた稀有な男の姿を描いた作品。身命を賭して守った現代日本の姿を見て、五代はどのように思うのだろうか・・。】
ー 桁外れの知力、才能とそれまでの日本人には乏しかった、先進的な思想で、幕末から明治初期の日本を牽引した、五代才助、後の友厚(三浦春馬)。
旧武士層から憎まれながらも、近代化を推し進めた男の”無私の献身”の姿を、胸が熱くなるシーンを多数、散りばめて描き出した作品。-
■沁みたシーン
1.遊女はる(森川葵:近年のベストアクト作ではないだろうか・・)と五代との、身分を超えた恋。
酔った愚かしき武士に言い放つ言葉。そして、五代に、”遊女でも夢を持ちたい・・。貴方と海を見たい・・”と告げる。
そして、イギリス政府に捕らわれた五代を、自らイギリス商人の妾になることで救う姿。日本で二人が再会した時には、はるは病に侵されており・・。
そして、五代は、はるを背負って、海を見る・・。
2.明治政府の要職に就いた五代が、敵対する、大阪商人たちを前にして、自らの熱き思いを血を吐きながら、語るシーン。 ”100年後の日本を見ている!”
- このシーンの多くの大阪商人を前にして、一歩も引かない、五代を演じる、三浦さんの真っすぐな目。信念を貫こうとする姿が素晴しい・・。-
3.五代が49歳という若さで逝去し、通夜に誰も来ないシーン。
妻となった旧武家の豊子(蓮仏美沙子)と子供達が棺を前にして、”誰も来ない・・”と呟いていると、現れた伊藤博文(森永悠希)が、五代が且つて使っていた剣を携えて現れ・・、その後に4500人もの弔辞客が灯す提灯の長い列・・。
- ここは、可なり沁みた。五代友厚の強い意志そして、遺志は、人々に伝わっていたのだ・・。-
◆少し、残念だったところ
1.ストーリー展開が早いのは仕方ないとはいえ、粗い部分が目立つ。推測と、過去に学んだ記憶を総動員して鑑賞する・・。
2.キャスティング
特に名は記さないが、うーん・・、と言う方と、見かけと実年齢に違和感を感じてしまった。
- メーキャップに、コスト、時間的制約があったのだろうと推察・・。-
<幕末から明治への激動の変革期を正面から描いた作品。
多少の瑕疵が気になるが、三浦春馬さんはじめ、多数の名優の熱演が支えている作品である。>
■蛇足
・今春、三浦春馬さんが全国の”モノづくりの現場”を訪れた姿を記載した「日本製」が発刊された事は、知っている方も多いであろう。
彼が、47都道府県を4年掛けて訪問し、各土地の産業・文化・伝統に触れ、実直な言葉を呟いた内容をまとめた本である。
有難い事に、私が働く会社も何度か取り上げて頂いている・・。
三浦さんの真摯な姿勢で、各土地の産業・文化・伝統と向き合う姿が印象的で、彼の旺盛な知的好奇心が詰まった本である。
三浦さんが演じる五代友厚の姿が、どうしても、三浦さんご自身の姿と被ってしまい、
鑑賞中、何度となく涙が出て来てしまった・・。