劇場公開日 2020年12月18日

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「【”子供の傷ついた心が産んだ化け物。そしてそれを救う母の愛。”今作は、忌まわしき子供虐待事件or父親による無理心中事件撲滅ホラーでもある。】」クローゼット NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5【”子供の傷ついた心が産んだ化け物。そしてそれを救う母の愛。”今作は、忌まわしき子供虐待事件or父親による無理心中事件撲滅ホラーでもある。】

2025年7月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

難しい

ー 韓国の名優で、今作でイナの父、サンウォンを演じるハ・ジョンウは、魔界シリーズ「神と共に」でも重要な役で出演している。今作でも序盤で、サンウォンが雇った霊媒師ギョンフン(キム・ナムギル)がサンウォンに
 ”「神と共に」を観た事がないのか!"というシーンがある。
 この辺りまでは未だ良かったが、その後に明らかになって行く悍ましき出来事がイナが異界に連れ去られた原因だった事が分かるシーンは、恐ろしくも哀しいのである。-

■自らが運転する車の事故で妻スンヒを亡くしたサンウォンは、母を亡くした事で、心を閉ざした娘、イナと郊外に引っ越してくる。
 環境が変わり、イナは徐々に”不思議な友人が出来た様で”、明るさを取り戻すが、サンウォンは建築業の仕事で忙しく、仕方なくイナを施設に預けようとした際に、イナはある日忽然と姿を消してしまう。
 そんななか、イナの行方を知るという謎の男・ギョンフンが現れ、クローゼットに秘密が隠されていると言い、調査を始める。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・真夜中に見るホラーは怖さ、マシマシである。それにしても、今作はクローゼットの中に潜む少女の姿が最初は非情に怖い。

・そして、その少女が且つて韓国経済不況が訪れた際に、母を殺し父にクローゼットに閉じ込められたミョンジンという女の子だった事や、彼女が自分と同じように親に虐待され、殺された無念の心を持つ子供達の、成仏出来ない霊を”異界”に集めて、同じ境遇の子を”異界”に呼び込んでいたという展開と、その入り口がクローゼットだったという設定は、ナカナカに怖くも哀しい。

<ホラー映画は様々なジャンルがあるが、個人的にはスラッシャーモノよりは、今作の様な怨霊物の方が怖い。

 それは、私自身が霊感が人一倍強い事と、過去登山の最中に山岳遭難した怨霊に憑りつかれ、散々な目に遭った経験も根底にあるのかもしれない。

 怨霊とは、六畳の御息所の生霊に代表されるように、元々は人間であり、その人間が深い恨みや悲しみを持ったが故に生まれたモノである。そこがリアリティがあって怖いのである・・。

 今作の再後半、それまで異形の姿をしていたミョンジンが、自分と同じく父に殺された母と出会った際に、普通の女の子の姿になり母に抱き着くシーンは哀しい。

 経済的に破綻し、一家心中をする男が耐えないが、”死ぬんなら一人で死ねよ。お前みたいな弱っちい男が居なくたって、女性は強いんだよ。”とも思った作品である。>

NOBU
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