劇場公開日 2021年8月13日

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「散らかった物語を大魔神で強引にまとめる力業!!」妖怪大戦争 ガーディアンズ バフィーさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0散らかった物語を大魔神で強引にまとめる力業!!

2021年8月22日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

4、5年周期で「妖怪」にまつわる作品が展開される中で、2005年にも神木隆之介主演でリメイクされた大映の名作特撮映画『妖怪大戦争』のリブート作品が制作され、大映作品の権利を所有する角川としても、リバイバル上映などによって、サイドからも盛り上げてはいるものの、肝心の作品自体がどうしようもないのが残念でならない。

三池崇史に加え、問題なのが渡辺雄介による脚本ということ。今までにも漫画原作の映画を失敗に導いてきた脚本家ではあるが、漫画原作であれば、完結していないものもあったりと、まとめるのも大変な場合が多く、同情の余地もあるというもの。

しかし、今作はオリジナルの大映作品があるとはいっても、基本は完全オリジナルということもあり、正に力量が試されたといえるだろう。

近年の「妖怪ウォッチ」や近年の「ゲゲゲの鬼太郎」によって、妖怪のデザイン性やイメージというのが緩和されてしまっているようでならないのと、三池も『劇場版 ポリス×戦士 ラブパトリーナ! 怪盗からの挑戦!ラブでパパッとタイホせよ!』などの子供向け作品も手掛けるようになっていて、感覚として完全に「子供向け」になってしまっている部分もあるかもしれない。

しかし、近年の脚本でも「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」といった、いわゆる「子供向け」の劇場版脚本がハイクオリティになっているが故に、「子供向け」だからというのは、流石に「おしりたんてい」のラインであれば通用するかもしれないが、中学生、高校生も対象に入ったような作品には、もはや言い訳として使えないものになっている。

何より問題なのが、製作サイドが観客をバカにしているかのようなクオリティということだ。「ツッコミ所がある」とか「ない」とか、「おもしろい」とか「おもしろくない」というのは、別問題として、作品として欠陥建築で、筋が通っていない。

完全に子供向けではあるが、同日公開の『映画おしりたんてい スフーレ島のひみつ』の方が、まだひとつの作品としての筋は通っていた。

キャラクターをたくさん出すことで、ストーリー性がなくなってしまう悪い例が、かつて「仮面ライダーディケイド」以降の劇場版には数年みられたように、今回もキャラクターが多いことでキャラクターひとりひとりの描写が非常に薄っぺらく、相手に説得されて意見がすぐに変わってしまう。

散らかすだけ散らかしい、「大魔神」で誤魔化し、無理やり丸め込んでしまう力業な結末。

バフィー吉川(Buffys Movie)