「天秤にかけた自分と正義」由宇子の天秤 makotoさんの映画レビュー(感想・評価)
天秤にかけた自分と正義
3年前に起きた女子高生いじめ自殺事件の真相を追いつめて学校の姿勢、報道のあり方を追及するドキュメントディレクターの由宇子。
報道のあり方を批判するものの、上層部の圧力により、学校側の責任へと印象操作される編集を命じられる。
ここで由宇子の天秤がかけられる。
自分の正義と、自分を取り巻く人たちへの思い。
そして周囲の思惑。
なんとか自分の信念を貫こうとするものの、今度は自分の父親が教え子を妊娠させてしまう。
常に由宇子は支点である。
しかしその支点は自分の身内の出来事だと、バランスは保てない。
側の向こうからの中立性の視点が持てないからだ。ここが中立である支点の難しさである。
ドキュメントディレクターである由宇子に最大の葛藤が描かせていた。
時として誰しもが立つ中立の立場。
被害者、加害者の立場に立って思考する難しさを問いかけられた作品であった。
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