劇場公開日 2021年9月17日

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「いつまでも三毒との闘いなのか」由宇子の天秤 hiroshi mitsudaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0いつまでも三毒との闘いなのか

2021年11月24日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

私は、仏教徒でも、特に信心深い人間でもない。

しかし、この悲しい物語を観終わって、心なのか頭なのか自分の中に浮かんだ想いは「だめじゃん 人間 ダメダメじゃん」だった。

ある僧の説明によると、現代ではこの三毒は「欲 怒り 迷い」と解釈されるそうだ。もっとも、ここでの怒りは妬みを意味し、この映画での怒りは、由宇子の怒り=正義感なので、意味が違う。ただ、三題噺と解釈すれば、正しい怒りが、人の逃げられない欲や迷いに邪魔をされ翻弄され、自らも迷いや欲の中にはめられてしまう。

人間の業を、痛切に、リアルに、巧みなシナリオで描き出した、観たくないけど見なきゃダメじゃんな良作。

みっちゃん