「いつまでも三毒との闘いなのか」由宇子の天秤 hiroshi mitsudaさんの映画レビュー(感想・評価)
いつまでも三毒との闘いなのか
私は、仏教徒でも、特に信心深い人間でもない。
しかし、この悲しい物語を観終わって、心なのか頭なのか自分の中に浮かんだ想いは「だめじゃん 人間 ダメダメじゃん」だった。
ある僧の説明によると、現代ではこの三毒は「欲 怒り 迷い」と解釈されるそうだ。もっとも、ここでの怒りは妬みを意味し、この映画での怒りは、由宇子の怒り=正義感なので、意味が違う。ただ、三題噺と解釈すれば、正しい怒りが、人の逃げられない欲や迷いに邪魔をされ翻弄され、自らも迷いや欲の中にはめられてしまう。
人間の業を、痛切に、リアルに、巧みなシナリオで描き出した、観たくないけど見なきゃダメじゃんな良作。
コメントする