「何度見ても感動するがトキメキが足りない。」アイの歌声を聴かせて mmさんの映画レビュー(感想・評価)
何度見ても感動するがトキメキが足りない。
当初劇場でやっていた特報から、一転して主人公?の女の子シオンがAI搭載のアンドロイドだった。この衝撃は凄かった。特報のしっとりした歌声から予告編第一弾の甲高い声にはめんくらった人も多かったのでは。
私自身ちょっと引きながら劇場に出向いたが、その不安は鑑賞しながら払拭されていった。まず歌が良い。基本的にシオンが歌って、他にはディズニーアニメをオマージュしたアニメの主人公が歌う歌があるのだけど(このアニメと歌は作品の重要なキーとなる)この全ての歌のシーンが良いのです。アレクサみたいなのがより発達した近未来。新たなAIを搭載したアンドロイドの実験場となる学園で起こる騒動。そのAIは何故かサトミを知っていて、サトミのシアワセにするための行動が最優先事項。果たしてそれは何故?
公開直後は散々だった観客数がSNSでの口コミなどで鰻登りの大絶賛。シオンの秘密を知って観る2回目からは、感動がさらに広がる名作です。一見の価値、いやニ見、三見の価値ありです。
けれど、わたしは何故かSNS上のような熱狂的な気持ちになれないのです。2回の観賞後ずっと考えてたんですがやっと分かりました。トキメキを感じないのです。作品自体は近未来SF学園ものとしてよく出来ていて、竜そばのような脚本が破綻している訳でもなくラストも綺麗にまとまっている。ただもう一度シオンを元の形のまま学園に登場させて欲しかった。そしたらトキメキしたかもしれない。
竜そばは脚本はダメだが音楽と映像は素晴らしい。すずのソバカス顔とシノブ君との出会いのシーンは萌え要素たっぷりだ。ジョゼ虎にしても然り。だが残念ながらアイ歌にはそれが無い。サトミとトウマ、ゴッちゃんとアヤの関係にトキメキをあまり感じない。シオンの隠された想いは強烈な感動を生むが、シオンは最後には消え去りネットの海のデータとなる。
一番トキメキ要素がありそうだったのに。
会長が「今度は大っぴらにやれ」と言うのだから、再び学園にシオンが現れて終わってもよかったのでは。