レディ・マクベスのレビュー・感想・評価
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ただただ、フローレンス・ピューに圧倒される。
ミッドサマーの演技に魅了され、それ以前の主演作ということで
興味津々で鑑賞です。
フローレンス・ピュー恐るべしな一本でした。
何度か同じ構図のシーンがあります。
ソファーに座りみじろぎせず真正面を見据える主人公。
セリフ、音楽、動き、、、全く無し。
どのくらいの長さだったかな?
不思議に繰り返されるたびに
主人公の心情が変わっている気がしてならないのです。
内面から滲み出る何かなんだと思いますが、
どんどん無垢な少女から変わっていく様。
自我?欲?価値観?芽生えた覚悟?
この無言のシーンに説得力をつけてしまう
フローレンス・ピューの凄さは一体何なのでしょう?
静かに、主人公キャサリンの欲望が青い炎のように、したたかに燃え続けます。
嫁によって屋敷内の空気が変わっていく様、怖いです。
いやいや、ヒリヒリします。
そして、クライマックス。
人間の愛とは誰に向けてあるのか?
極限状態のときに人間は一体何を守るのだろう?
何を優先するのだろう?
行動の源ってなんなんだ???
キャサリンが得たもの、手放した物(者)はなんだったのか?
そうなったのも、そうさせたのも人間の業なんだよな。
哀しい、寂しい、人間って。
セリフ、音楽が少ない。
しかし、映像の力、演技の力でなんとまぁ、
あっという間の良い時間でした。
一つ、あるとするなら、キャサリンの
スイッチが入った背景、心情にもうちょい
厚みが欲しかったかな?
マクベスってふりなの
ピューイストの僕としては、2016年製作の作品が蔵出しされたことは、嬉しい限り。フローレンス・ピューの凄みのある演技力、圧倒的な存在感を堪能できた。
ピュー演じるキャサリンは、不貞のことを義父からなじられるが、眉一つ動かさずに堂々と夫の生殖能力のなさを暗に示して切り返す。ピューの迫力ある顔力にたじろぐ義父を見て、こりゃそうなるわなと、独りごちた。
もうここからは、ピューの独壇場。使用人アンナも愛人であるセバスチャンも女主人たるキャサリンの威圧感に気圧されて、道理に合わない命令も呑み込んでしまう。
この作品は、ほとんど音楽が流れない。劇場内は静寂を保っているので、ため息すらつくことができない緊張感がある。そしてラスト。思わず吐きそうになるくらいの衝撃があるのに、余韻に浸ることも許してくれない曲なしのエンドロールにギブアップ。
マクベスってもうふりでしかない。こんなにクラクラした作品は久しぶり。
暴走か覚醒か
裕福なお屋敷に嫁いで来た17歳の嫁が、欲求不満を拗らせて怪物になる話。
広~いお屋敷にメイド付きで至れり尽くせりだけど、自分の存在意義は…。
義父への当て付けなのだろうか、裸でベッドに入らせるくせに触れても来なかったり、裸で壁の方を向かせ1Pだったりな旦那。
最初は拒んでいる様子だった使用人との関係も、一度始まってしまえばノリノリで、身体の関係だけじゃ満足出来なくなっていき、という展開からの流れは不気味だし、恐ろしいし、内容的には自分的には大好物。
義父の時はマジカー!!とニヤニヤしてしまったのはここだけの話w
しかしながら、心境が変化していく様子をみせる描写があまりなく、突然変わった後になっていたり、極端に間が長かったり、淡々としていたり。
最後のセバスチャンの心変わりも何でここで?と感じてしまったし。
淡々としていることで狂気をみせたいのかも知れないが、ヤケにまったりした空気感が自分には合わなかった。
内容的にはホントにもの凄く好みだったんだけどね…。
冒頭のベールが花冠だったら+1
【きれいは汚い、汚いはきれい】
「きれいは汚い、汚いはきれい」
シェークスピアの戯曲「マクベス」の中で、占い師が繰り返す言葉だ。
この矛盾してるようで、人間の本性を端的に表しているような言葉は、マクベスの物語の不穏な先行きを象徴するかのようだ。
そして、この作品は、実は、この言葉そのものではないのか。
身なりは汚くとも、人を殺めることに後悔の念や恐れを隠さないセバスチャン。
キャサリンには反省どころか、後悔も感じられない。
感情のままに振る舞い、策略を巡らし、資産を手中に収めたところで、安心など手に入れることは出来はしない。
疑心暗鬼や裏切りは続き、滅亡の道を辿るしかないのだ。
少し前のイギリスの地方の領主の物語のようで、実は、僕達の生きる今の世界にも通じるようにも思える。
歴史は、実在したマクベスの生涯をなぞるように、あちこちで繰り返すだけなのかもしれない。
シェークスピアの悲劇は、形を変えながら続いていく。
ぴゅーーーーーー!
この映画を見たらどんな監督もプロデューサーも、ピューを使いたい、使った映画を作りたいと思うでしょう!
隙間風が入り地味な部屋、質素な食事、そして嵐が丘(もキャサリンだ!)、ヒースクリフ、ケイト・ブッシュの歌声と、どんどん頭の中がイギリス連想世界になりました。
自分一人で着ることも脱ぐこともできないドレスかー。キャサリンは夫に言われたことをそのまんま最初からセバスティアンに言えたな。
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