「【きれいは汚い、汚いはきれい】」レディ・マクベス ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【きれいは汚い、汚いはきれい】
「きれいは汚い、汚いはきれい」
シェークスピアの戯曲「マクベス」の中で、占い師が繰り返す言葉だ。
この矛盾してるようで、人間の本性を端的に表しているような言葉は、マクベスの物語の不穏な先行きを象徴するかのようだ。
そして、この作品は、実は、この言葉そのものではないのか。
身なりは汚くとも、人を殺めることに後悔の念や恐れを隠さないセバスチャン。
キャサリンには反省どころか、後悔も感じられない。
感情のままに振る舞い、策略を巡らし、資産を手中に収めたところで、安心など手に入れることは出来はしない。
疑心暗鬼や裏切りは続き、滅亡の道を辿るしかないのだ。
少し前のイギリスの地方の領主の物語のようで、実は、僕達の生きる今の世界にも通じるようにも思える。
歴史は、実在したマクベスの生涯をなぞるように、あちこちで繰り返すだけなのかもしれない。
シェークスピアの悲劇は、形を変えながら続いていく。
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