オン・ザ・ロックのレビュー・感想・評価
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【ありがち、ありがち】
疑心暗鬼の責任は、実は自分にあることが多かったりする。
それが滑稽なのだ。
こういう時に限って、いらぬ想像力が爆発したりする。
周囲も無責任に想像力の枝葉を広げるのを手伝う、煽る。
フェリックスは、彼なりのやり方で、それを教えているのだ。
過去にあれこれあったのかもしれない。
それで問題があったこともあるだろう。
でも、振り返ったら、率直であったはことは総じて良かったのではないのか。
気軽に他人とコミュニケーションを取り、思いつくままに計画を前に進めてるようだが、実は思慮深かったりもする。
見た目だけで判らないことは沢山あるのだ。
このストーリーの展開、館内に笑いが伴う。
決して大笑いではない。
結婚してようが、未婚であろうが、似たような疑心暗鬼を抱えた人がほとんどのはずだ。
だから、気恥ずかしさも半分で、きっと大笑い出来ないのだ。
でも、率直になった時、ローラは実は、フェリックスに感謝してる。
きっとバツが悪いと思うけどね。
人生、そんなことの繰り返しだ。
収まりが良ければ、滑稽でも、それが素晴らしいのだ。
男はDNAに操られている?
今日2本目のA24は、僕の大好きな父娘物だから当然あたり。ソフィア・コッポラ監督は、男の習性をよくわかってらっしゃる。
男の浮気はDNAに組み込まれた生殖本能によるものだからどうすることもできない。でも、娘婿の浮気は、許すことができない。フェリックスの身勝手な主張は、よくわかるんだよね。自分も娘がいるからほぼ共感。
ビル・マーレイがいい味出してる。こんな父親になりたいな。娘を引っ掻き回しているのに、憎めないし、悪びれもしない調子のいいおじいちゃん。
尾行に使う車が、Giulietta spiderっていうのもいいね。バックファイアを轟かせながら発進するなんて娘との冒険にピッタリ。
最後はバレバレのオチだったけど、スパッとエンドロールに切り替わったからいい余韻だった。
暇を持て余したオヤジ
年齢を重ねたビル・マーレイの魅力の虜
【父と娘】そのわだかまり。ビル・マーレイ × ラシダ・ジョーンズ = チャーミングなふたり。【フランシス・フォード・コッポラの娘】として役者もしていた彼女がその繊細さを持ってして監督デビューを果たした『ヴァージン・スーサイズ』はまごうことなき傑作だった。続く代表作『ロスト・イン・トランスレーション』と『SOMEWHERE』は、ごくごくプライベートな題材を扱い私的ゆえに無自覚な傑作だった。それに対し本作はパッとしなかった『ブリングリング』の経験で自分が【洗練された上流階級】しか描けないことを痛感し、『ビガイルド』で『ヴァージン・スーサイズ』、『マリー・アントワネット』のように自身が【ガーリー文化に多大な影響を与え発信する功労者・創造主】であることと監督としての手腕を遺憾なく披露した後に、今映画界を席巻するA24と組んで製作された。そして、またしても彼女の描き続けてきた【父と娘】という題材をコミカルに扱ったものだった。いわば原点回帰、それも今回はより意識的に、時が経ったからこその中年の危機的側面も持たせて。彼女の旦那【フェニックスの楽曲】が流れるのも彼女の作品の特徴。とにかく愛しい。
今年映画館鑑賞51本目たぶん
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