「TV中継とは一味違う、相撲の映像的迫力に満ちた作品」相撲道 サムライを継ぐ者たち 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
TV中継とは一味違う、相撲の映像的迫力に満ちた作品
相撲について私は全く詳しくない。そんな自分が、104分間の中で脈打つ数え切れないほどの「バチーン、バチーン」という激しい衝突音を通じて、少しずつその世界へ惹き込まれていった。冒頭から、国技館の内部にカメラが向けられる際の圧倒的な迫力が身を震わす。なるほど、実際に足を踏み入れるとこんな動線で、こんな見え方なのか。地から湧くような歓声もTVの相撲中継とは全然違う。取り組みの模様や前後の表情も独自のアングルのものばかりだ。加えて、全体の構成として「相撲部屋」にフォーカスを当てているのも本作の特徴。その組織がどうなっているのか。練習風景はどうか。親方はいかなる方法論で彼らを育て上げるか。先輩や出世頭の力士たちはどう後陣の手本となるのか。同級生との関係性や絆はどうか。こういった組織論としての味わいも格別だ。彼らの懐に入り込んだインタビューで、メンタルや精神性の部分を巧みに引き出している点も興味深い。
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