「【”香港と、中国、深圳との運び屋の少女の恋と。危うき青春。”今作は、中国映画の新たなる息吹を感じさせると共に、良く中国政府が公開を許可したモノだと感じた作品である。】」THE CROSSING 香港と大陸をまたぐ少女 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”香港と、中国、深圳との運び屋の少女の恋と。危うき青春。”今作は、中国映画の新たなる息吹を感じさせると共に、良く中国政府が公開を許可したモノだと感じた作品である。】
■香港出身の父と中国大陸出身の母を持つ高校生・ペイ(ホアン・ヤオ)は、香港籍を持つためか、中国の工業都市、深圳から香港の高校に通っている。
家族がバラバラで孤独なペイにとって、心の拠り所は親友・ジョーの存在であった。ジョーと北海道へ行くことを夢見るペイは、その旅行資金を稼ぐために、スマホを香港から深圳に運ぶ”運び屋”をしつつ、ジョーの恋人ハオに、仄かな恋心を抱いて行くのである。
◆感想<Caution!内容に余り触れていません!>
・本作は、どこかドキュメンタリータッチの映画であり、私が今まで観て来た中国映画とはかなり風合が違う作品である。
・それは、本作の舞台が中国経済特区として、物凄いスピードで反映して来た、中国らしからぬ都市、深圳が舞台という事が大きいと思う。行
った事がある人は分かると思うが、経済特区に指定された頃は工場がドンドン立って行った地域であるが、今や今作でも描かれる通り、高層ビルが立ち並び、繁華街は発展し、香港とは新しく開通した地下鉄で直ぐの距離にある。
故に、大陸の風土はあまり感じられず、香港が持つ民主主義の風合が濃いのである。
・故に、一時期はこの映画のホアのような女が、若い男達を使って香港から銃や電化製品、今作でも描かれているようにスマホなどを”運ばせて”利ザヤ”を稼いでいたのである。だが、そこは矢張り中国であり、取り締まりは厳しいのである。
・今作が、中国映画の新たなる息吹を感じさせるのは、当時の上記の様な空気感を、上手く描きつつも、年頃の女子高生、ペイの心情をドラスティックなシーンを介さずに描いている点だと思う。
<それにしても、一国二制度を徐々に潰そうとして、香港文化人や若者達が大反対デモを起こしていた状況で、中国政府は良くこの映画の公開を許可したモノだと思った作品である。何か思惑が有ったのかな。
”新鋭、バイ・シュエ監督が、2年間の取材を行い完成させた意欲作。”と言うこの作品。面白かったのだが、バイ・シュエ監督の最新作と言うか、活動状況の報が、全くないのが杞憂であれば良いのだが。>