ベイビー・ブローカーのレビュー・感想・評価
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是枝監督の家族三部作最終章
「そして父になる」「万引き家族」に続く是枝裕和の家族三部作(私が勝手に名付けた)の最終形態。万引きからさらに進んで人身売買である。通底するテーマは「家族」とりわけ「父」という立場のあやふやさ曖昧さとそれが故に子どもとのプラトニックな愛とつながり。ふらふらと彷徨う。家があろうが旅に出ようが。三作目を日本の役者で撮るにはさすがに選択肢がなかったのであろう韓国で撮って正解。ソン・ガンホとかやりすぎでちょっと興ざめる部分もなきにしもだけれども基本ドキュメンタリー手法の演出なので絶妙にバランスがとれた。ただ遊園地のダーツで景品を取るシーンの手前の男の子がノーリアクション(おそらくは的に当たっていないのにソン・ガンホはガッツポーズ)に一気にしらけた。一貫して常識的カット割りの直球勝負は気持ちが良い。
ボロい集配車にのった"心優しいクリーニング屋"達のロードムービー
社会派映画だと思って、観に行ったが、赤子を囲むみんなが あまりにも心優しくて、僕は予定外に、泣いてしまった。
そして、洗車場のシーンは映画史に残る"心温まる"素晴らしい名シーンだった。
邦画では坂道を "地方の のどかさ " もしくは "運命の返還点" として表現するが、
K国映画での坂はただ"貧困と格差"を表現する。
この2国文化 の違いを巧みに使いこなせた是枝裕和監督の非凡さは絶大だ!
音楽もバランスが良いが
光を上手く取り入れた 撮影 が実に素晴らしく、芸術映画のレベルに達していた。
演者も素晴らしく、人間味あふれるキャラを醸し出す ソン・ガンホさんにハズレはない。
日本でも多々知られている良い役者 ペ・ドウナさん 演じる、男勝りの女刑事には、
首や腕等をもっと ボリボリ かいたり させれば、
仕事以外への"無神経さ"が 更に鮮明に伝わり それが、任務への執念と忠実さ として上手表現でき、
それが裏返しに、ラストシーンにうまく繋がると思う。
女刑事とは正反対の位置になる"赤子を捨てようとした女"は、母乳どころか、哺乳瓶さえ
最後まで持つ事をしなかった。
それに気づいた 旅の友:ユン・ドンスは「自分の母を信じる事」と重ね合わせ
ローテーションを組んでまで、
彼女の母性本能を戻そうと努力をしていたが。。。
彼女の強い信念が痛いほど、良く伝わる反面
別な女性が自分の赤子に母乳を授ける事を、羨ましく観ている姿がとても痛ましく表現されていたが、
それでも彼女は「産まれてきてくれて ありがとう」と心を痛めている皆に言う。
彼らだけではなく、どんな人も みな それぞれの持った痛みがあるという事
それでも「人を思いやりながら、生きる事の大切さ」が、この映画では伝わってきた。
女は日本にもある「赤ちゃん ポスト]に赤子を入れているのに、
映画の中では何度も「赤子を外に置いた。アノままでは死んでいる」を繰り返していたのは、不に落ちない。
この映画のキーになる「赤子1000万ウオン」なのだが、1000万ウォンとは日本では、 どの位の価値なのか!? 鑑賞者にとって、非常に重要な事なので、
現在為替ルートで良いので、日本円でいくらか、ちゃんと(カッコ付翻訳)して欲しかった。
物価上昇した20年後に観ても、無問題なのだから それが ザ・翻訳 というもの
今作まで、僕の"ロードムービー最高峰"であった「幸福の黄色いハンカチ」を見返したい。
「捨てた」のではなく「守った」で子供は納得するだろうか。
雨降りしきる中、我が子をBABYBOXの前に放置する若い母親。その子を金に換えるため動き出す借金まみれのうだつのあがらないおっさんと、母親の愛に餓えた養護施設出身の相棒の男。更にそのブローカーを現行犯逮捕するためあとを追う刑事。
てっきり赤ちゃんの命など二の次で金の為だけにブローカー業を行う極悪人と刑事との鬼気迫る裏社会の攻防を描いた物語かと思っていました。
なんならむしろハートウォーミングな旅物語だった。クスッと笑えて、なぜか優しい気持ちにもなる。一時の疑似家族を乗せたボロボロのワンボックスのあとを長らくシャワーも浴びていない執念の女刑事が乗るゴミだらけの車が続く。いくつもの視点からそれぞれが赤ちゃんの未来を想う。誰にだって話せない家庭の事情がある。その事情を知ったら感情移入だってしてしまう。しかし犯した罪の罰は受けなくてはならないし、受けさせなくてはならない。失笑しながら「私たちの方がブローカーみたい」と呟くシーンは実に良いシーンだった。
さて、是枝監督様。これは日本が舞台ではダメだったのでしょうか。私はやっぱり日本で挑戦してほしかったです。だって舞台こそ韓国でしたけど、日本の話みたいでしたよ。
What is the happiness for babies?
是枝作品は、「そして父になる」「三度目の殺人」「万引き家族」に続いての4作品目。
4作品の中では、「ベイビー・ブローカー」が一番好みです。
「生まれてきてくれてありがとう」
我が子たちには再三言ってきた言葉です。
隣県在住の実家のサポートを受けながらでも、ワンオペ双子育児は本当にきつかったです。
けれど、2年の不妊治療の末に授かった子どもたちなので、この子たちがいなければと思ったことは一度もありません。
ひとりの赤ちゃんを子どもにするのは、本当に大変な一大事業ですが。
私は、両親から「生まれてきてくれてありがとう」と特に言われたことがなかったので、自分で自分に言ってみたことがあります。
何だか、ひとりでジーンとしちゃいました(*^-^*)。
少子高齢化、未婚化・晩婚化、離婚件数の増加、単身世帯が世帯全体の4割で最多という社会情勢では、今後、家族の標準が両親+子どもたちではなくなっていくでしょう。
生まれて来る赤ちゃんには、環境を選ぶことも創ることもできません。
大人になる過程で、しっかりと自分の生き方を選択する方法を学ぶ仕組みが必要ですね。
赤ちゃんポストが必要なくなる世界になるといいなあ。
是枝監督は、フランスや韓国で、現地の俳優・スタッフと映画づくりにチャレンジされていて、その姿勢が素晴らしいと思います。
海外に出て初めて日本の長所・短所が分かるように、国外で現地の人たちと映画を創る経験は、是枝監督の価値観のスクラップ&ビルドになる気がします。
今後の作品たちがますます楽しみです♡
非常に丁寧な脚本で、キャラクター設定、関係性なども本当に良く、俳優...
非常に丁寧な脚本で、キャラクター設定、関係性なども本当に良く、俳優さんのお芝居はもちろん、好きなシーンが何個もあって非常にに良かった。最終的にはポジティブに終わる感じや、余韻も心地よかった。さすが是枝監督でございました。
演技が自然ですぐに入り込めます。日本人俳優なら誰が演じれるか、
観ながらずっと考えていました。
トップガンみたいに派手で面白くてスカッとする映画と比べると地味だけど、
こういう話をよく思いついたなあと思います。笑いもあるし、許せる。
好みがわかれるようだけど私は好きです。
表題の件、主役はやっぱりリリーさんかなあ。
一歩引く感じの演技のできる俳優さんが他に思いつかないです。。
アホの私にはよくわからなかった映画。食事は美味しそう。
ほんっとよくわからなかったのね。
面白さが。
実際、コンディションがよくない状態で観たせいあって、なんとか耐えたものの、途中で睡魔が来ました。
捨て子を巡る複雑で奇妙な家族愛は、見いてほがらかな気持ちなりましたが、それ以外は心に刺さりませんでした。
私がアホなんだ、きっと。
唯一、刺さった点は、スジンとイの車の中での食事シーンがやけに美味しげだったこと。
あれ何だろ?串に刺さった焼き鳥みたいなやつだとか、カップ麺だとか。
あとね、この映画、是枝裕和×ソン・ガンホが売りのようだけれど、私としては、大好き映画の『新感染半島ファイナルステージ』のカン・ドンウォンをずっと目で追ってたですよ。
反則だよこれは
ソン・ガンホ
カン・ドンウォン
ペ・ドゥナ
この三人出て観ないわけないじゃない。
この三人出て駄目な映画のワケ無いじゃない。
このキャストに是枝監督の演出加われば、そりゃいい映画になるさ。カンヌで賞だって取るさ。
ソン・ガンホが主演男優賞?今更でしょ。
出演作品にハズレ無しの韓国を代表する名優ですよ。日本で言えば高倉健ポジションの役者ですよ。(ちょっと違うか)
無論そんな簡単にこの作品が生まれたものじゃないとは重々思うが、やっぱ反則だよなぁ。
この作品の脚本は是枝監督のオリジナルで、最近の映画ではかなり貴重。
脚本をイチから書ける監督というのは実はそんなに珍しくないはずだが、採用されるかどうかはまた違うハナシだ。
監督の実績有ればこそ、特にクライマックスといえるシーンも無いこの地味な脚本が採用されたんだろう。(赤ん坊を売ろうって人たちがこんな善人ばかりのワケ無いだろうけど)
勿論人間ドラマを自然に描いて、且つ面白いというのは監督の持ち味だし力量が素晴らしいから成せる業ではあるが、そこにこのキャストは鬼に金棒が過ぎる(笑)。
キャストといえば見事なヤサグレ演技を披露していたヒロイン(?)のIU(イ・ジウン)さんって全然知らなかったんだが、韓国では国民の妹なんて言われてる本業歌手らしい。
やはり韓国エンタメは恐ろしい。おかげでせっかくのペ・ドゥナが少し霞んでたよなあ。
この映画が素晴らしいのは演出とキャストばかりではなく、撮影と劇伴もとても良かった。スタッフは韓国側の方達らしいが、流石ですね。特に観覧車のシーンは何も起きないのに印象的だったなあ。
なんとなあくもう一度観たくなるのが是枝裕和監督作品の特徴というか良い持ち味だと思うんだが、(駄目な人は出てくるけど悪い人は出てこないから?)この映画もなんとなあくもう一度観てみたい。
そんな良作です。
でも許しちゃダメですよ
人を「基本的には善」ととらえる監督さんの意図がよく分かる映画です。でも、犯罪は犯罪、「許しちゃダメ」で終わらせているので「善意のお花畑」にならないところは共感できます。
最初は何で韓国を舞台にしたのか分かりませんでしたが、もし、日本を舞台にして同じ脚本で撮影したら「こんなこと起きるわけないでしょ!」で終わってしまったかも知れません。
丁寧に撮影された「映画らしい」映画です。映画館でお金を払って見る価値があります。
(原題) 브로커/Broker
舞台挨拶にて!
自分が恵まれた環境で育ったからこそ、この作品は心に刺さるものがあり辛かった。
「生まれてきてくれてありがとう」
疑似的な家族であっても、それぞれ必要としている。
そのことに感謝。
誰かに言われると心が救われる一言…良かったです。
万引き家族感が…
どなたかのレビューでもありましたが、韓国版の万引き家族ですね。
バラバラな人間が赤ちゃんを通して?一緒に時間を過ごしていくことで、擬似家族のようになっていく。
この辺の手法は是枝監督の真骨頂なんですかね。
「凄く感動した」は無かったけど、じんわりくる作品でした。
人は出会いに寄って生きる意味を成す
前半は淡々と進む展開で、所謂テーマが見えてきませんでしたが、後半から是枝監督の言わんとすることが彼等の台詞に浮き出ており心に染みました。途中参加の8才の男の子がいますが、やはり是枝監督の子役の演出は素晴らしい。
彼がこの物語を活かし、助演男優賞ものですね。
ただ恐らく人それぞれによって捉え方が違う作風。
私個人が韓国映画に不馴れだったのか違和感が尾を引く結末に。確かにロードムービーでしたが、最後は怯えながら自分の答えを見出だすまでの逃避行のお話のようだった。
「万引き家族」や「そして父になる」が素晴らしかったので、それを越えられる作品には思えなかった。
補い合い、償い、繋っている。
是枝裕和監督によるオール韓国ロケ、俳優陣での作品。
結論観た感想として、やっぱり是枝監督の作品は素晴らしく、
国や役者が変わろうと、伝えたいメッセージやその作品の雰囲気は存分に味わう事が出来た。そしてそれらはいわゆる、「是枝メソッド」と呼ばれる確固たる演技指導法や演出によるものが大きいと思うが、気が付いたら今までの国内での作品と何ら変わりなく、最後まで深く楽しめた。
そして役者陣もパラサイトで脚光を浴びたソン・ガンホの存在感は素晴らしく、一部女性陣の役者の中には真木よう子にあてて配役してる?ような部分も見受けられたが、それも是枝監督の王道のフレーム作りなのだろうと納得して感じられた。
内容については詳細には触れないが、韓国の素晴らしい役者陣とタッグを組み、新たな是枝作品が存分に感じられる、素晴らしい作品でした。日本でももっと話題になって良いのに、と思いましたが、この作品を鑑賞される事をおススメ致します。
貴方が傘を持ってきて、が印象的
一つ一つの台詞が沁みて印象深かったです。好きなシーンは「貴方が傘を持ってきて」です。一緒に雨をしのげる人がいたら、どんなに良かったかと、切なくも彼女の意志が強く表れていた気もします。
役者たちの表情、無言の間、雨音や車に入り込む風など体感しているような空気も良かった。凪いだ心から荒々しい葛藤まで様々な感情が行き来して、矛盾した人間を巧みに描いた素晴らしい作品でした。子どもにとって親には善も悪もない、ただ生まれてきて良かったと思える瞬間を1日でも多く訪れることを願います。
韓国でも是枝節が炸裂
名優、ソン・ガンホを主演に迎え、オール韓国キャストで送る是枝監督最新作。
「人」を過剰なまでに丁寧に描くそれらのシーンの数々は、胸に深く刺さる物が多い。赤ちゃんポストは日本にも存在するが、実際稼働している場所は一つしかない物で、本作を通してその存在を知った位である。子を捨てる様に聞こえるが、遺棄や虐待死をするのに比べればまだ良心があるのだろう。だが、そこでは悲しい現実が待ち受けているのである。捨てる人間がいればそれを売る人間もいる。鑑賞前はブローカー側の悪行に多少嫌悪感でも抱くかと思ったが、ここで是枝監督の十八番である、芯に刺さる様な穏やかでありながら現実を見せるスタイルで一気に引き込まれていく。本作ではブローカー側とペ・ドゥナ演じる刑事側の2つの視点で描いていくのだが、それぞれが「生きる」意味を見つめ直す形で交錯していく。その両者を繋ぐ役割を果たすのが、捨て子の実の母親であり、それが涙腺を刺激する展開に発展するのである。観覧車で目を隠して話すシーンはかなりぐっと来た。実の母親役を演じるのは、韓国の国民的歌姫であり、「国民の妹」の異名を持つ IU ことイ・ジウン。個人的にファンであり、アルバムも全て購入しているこちらからすると時折うっとりしてしまう笑。
是枝監督作品に対して苦手意識がある方々ともまれに遭遇するのだが、「あの感じ」は前述の通り健在。韓国映画はえげつない描写や怒涛の展開が目を話せない良い意味でも悪い意味でもブラックな映画が多い為、せっかくの韓国での物語ならばとそういう物を期待してしまいがちだが、これは心穏やかに、ゆっくりと時の流れに任せる形で観るのが良いだろう。
あーこういう映画だったのかぁ・・なんでしょ・・是枝監督の、人に対し...
あーこういう映画だったのかぁ・・なんでしょ・・是枝監督の、人に対しての一貫した視線の優しさというか・・問いかけというか・・そんな映画。
是枝さんって優しい人なんだろうなぁ・・。きっと、根本的なところで人の善を信じていて、それを見つけ出し、掘り出して陽の当たる場所へひっぱり出して・・善を共有しようよ、共感しようよ・・と問いかけ続けているのかも・・。
善より、Heartより、義より、利害だよという世知辛無い世の中に、義や善があるんだよと・・。
是枝監督が敬愛するケン・ローチ監督作品よりは、心は救われるかなぁ・・。
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