ベイビー・ブローカーのレビュー・感想・評価
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重く苦しく…ないか
是枝監督で、カンヌ上映、ソンガンホ主演…などなど、結構話題作だと思うのだけど、その割にスクリーンが小さかった。割引デーかつ、たまたま小箱の上映回にあたっただけなのかもしれないが、久しぶりにかなり前の方の席になってしまった。 それはそれとして、内容は期待通り。赤ちゃんポストの社会的な課題を下地に、人生の過去を抱える無関係な人々が絡みあいながら、少しづつ歩み寄っていく。赤ちゃんを売りに行く過程で旅をするロードムービー仕立ての趣向。「捨てる」側「捨てられる」側のヘビーな事情を想像させつつ、結構ドロドロの背景が見え隠れする、重苦しいテーマではある。淡々とした展開ながら、それぞれのシーンの表情や仕草で感情を表現した画に、気持ちを読み解く面白さがあったので、退屈はしなかった。 「赤ん坊を売る」という重い内容なのに、ソンガンホの持つ雰囲気が物語を殺伐とさせず、観ながら重くならないのが良い。 韓国女優で好きなぺ・ドゥナも、ガンホ演じるブローカーを追う刑事役で登場。「グエムル」の頃のイメージを残しつつ、芯のあるキャリア女性をカッコよく好演。なぜか我が子を売る旅に同行する若い母親役のイ・ジウン。私は多分初見だけど、韓国では人気歌手のようですね。松岡茉優に似ていて、「万引き家族」を少しイメージしたかな。 全編静かな進行なのだけど、ラスト10分ほどで怒涛の展開。切なくも、物語にきっちり落ちを付けた、本作のラストは良かった。安心して観れる快作です。
愛情深いブローカー
赤ちゃんを捨てる
赤ちゃんを育てられない親
ソヨンはこの愛情あるブローカーに
よって助けられた…と思う
この二人と行動を共にすることで
家族の様な役割をもって生活できたし
赤ちゃんとソヨンを守ってくれた
それによってソヨンは更生する気持ちにもなった
メッセージ性としては
生まれてきてありがとう
という言葉で締め括られているけど
…ちょっと弱い
どこか核心に届いていない
たどり着いていない気がする
少し物足りなさを感じた
親から見放された子供
どうして自分は親に
捨てられたのか
捨てるれた子供は
捨てた親の気持ちを知りたい……
予想以上に
赤ちゃん売買人(ソンガンホ)が
愛情深く愛嬌もあって
いい味を出していた
特に洗車の場面は大笑いです
家族の様な和やかな雰囲気
…ベイビーブローカー
里親探しとは違い
お金で赤ちゃんを売買するので
…犯罪です
万引き家族の様な疑似家族
そして赤ちゃんの里親を探して
赤ちゃんが来ることを
望んでいる夫婦を見た時は
朝が来るの様な印象を受けた
刑事役に
空気人形に出ていたペドゥナも
見られたので良かった~
皆それぞれに母親との過去を持っていて
母親と子供の関わりを描いている
是枝監督は
…疑似家族も助け合う家族
…人生やり直しができること
是枝監督の想いが詰まってます
今回初めて是枝監督の映画を劇場で
観ました
意外と...
万引き家族を思い出す、不安な気持ちが続くかと思っていたけど、所々にユーモアが、、 ソンガンホのキャラのおかげかな? 途中の挿入歌で懐かしい曲、なんだたっけー?と ずっと気になって、思い出しました! 映画マグノリアのsave me! サントラ買ったほど気に入っていたから、 なんか嬉しかった(笑) マグノリア、見直したくなりました。 脱線しましたが、 最後は良かったぁと 終われてホッとしました。 私も母親なので、やはり考えさせられる 話でした、違う角度からの 考え方を知れたような、、 気になっている方は 是非観て下さい。
追う側、追われる側のドラマ
赤ん坊を捨てた母親。
その赤ん坊を拾って、売ろうとする男二人。
その三人をおう刑事。
それぞれに問題を抱えなが、旅をする。
まさに群衆劇として、これほどまでにドラマをしっかりと見せ、それぞれのキャラクターに感情移入せずにはいられなかった。
こんなにも魅力的なキャラクターを描ける是枝監督は本当に天才だなと感じた。
余談になるが、『ショーシャンクの空に』のラストで、監督はアンディとレッドの再開する場面までは描かないつもりでいたが、プロデューサーの「文芸作品でなく、エンターテインメントを作っている」と言う一言で、再会するシーンまで描いたとの事だっが、この映画では、それぞれが遊園地で再会しに行ったような表現で終わらせている。
この映画は、純粋にエンターテインメントではなく、文芸作品にしているのかもしれない。
だからこそ、カンヌで選ばれたのかもしれない。
善か悪か?
善いも悪いも、シロクロつけられない題材。 いや、そんなことはない。 優しければ、赦されるのか? やってしまった後始末のための、里親探しなのか? 突き詰めると、悪が見えてくる。 反面、それぞれが子を持つことに真剣に向き合って、もがいてきた背景がある。 だから、こどもたちに優しい。 それが、見ていて微笑ましくもあり、切なくもある。 望んでも子を持てない側と、予期せず親になった側、親から置き去られた児。 なぜ、堕ろさなかったか?の答えが突き刺さる。 産んで捨てたら殺人で、堕ろしたら違うの? ホントにそこだけど、そんなに簡単なものでもない。 ラストに救われる。 みんなで見守るって、こういうことかもねと思える。この子の存在が、確実に大人を変えている、そこを見せたかったのかな。 是枝監督は。
最悪な人身売買の中から育まれる最高の疑似家族愛
日本でも”赤ちゃんポスト”がマスコミで大きく報じられて話題になったが、韓国でも似たような状況が起こっているということである。”育てられないのに産むな”というセリフが、映画の序盤に登場してくるが、確かにそう言いたくなる気持ちは分かる。しかし、この映画を観ていると、実際にはそんなに簡単に割り切れる問題ではないのかもしれないと思ってしまった。様々な事情から止む無く赤ん坊を預けるしかない母親もいるし、自分で育てるよりも施設で暮らし方が幸せな場合だってあるはずである。本作はそんな韓国の社会的実情に着目しながら、生命の尊厳を謳った作品である。 監督、脚本、編集は是枝裕和。「誰も知らない」や「そして父になる」、「万引き家族」といった作品で国際的な知名度を誇る日本を代表する映画作家の一人である。「万引き家族」の後にフランスへ招かれて「真実」を撮り、その次に韓国へ渡って本作を撮り上げたということである。言語や文化が異なる場所で映画を作り続けることは大変な困難を伴うものであろう。中々真似できるものではない。 物語は捨てられた赤ん坊を巡って繰り広げられる群像劇になっている。赤ん坊を捨てた母ソヨン。その赤ん坊を売ろうとするサンヒョンとドンス。彼らを追いかける女性刑事スジン。映画は夫々の胸中を繊細に捉えながら展開されていく。 その中から見えてくるものは人間の孤児性、孤独といったものである。彼らは親から捨てられた者であり、子供を捨てた者であり、子供を持てない者たちだったということが徐々に分かってくる。 思えば、これまでにも是枝作品の中には人間の孤児性、孤独は何度も描かれてきた。例えば「誰も知らない」は母親に捨てられた子供たちの荒んだ暮らし振りを徹底したリアリズムで描いた作品だった。「万引き家族」の中には児童虐待を受ける少女が登場してきた。いずれも大変シビアな作品であるが、人間の孤児性、孤独が切実に描かれた作品のように思う。それが本作でも大きなキーワードとなっている。 そして、サンヒョンたちは一緒に旅を続けるうちに”疑似家族”のような絆で結ばれていくようになる。これも是枝監督が好んで描いてきたテーマの一つである。途中からドンスを兄貴と慕う少年ヘジンも加わり、彼らは時にユーモラスに、時にシリアスに衝突と団結を繰り返しながら奇妙な信頼関係で結ばれていく。その姿は正に孤独な者同士が肩を寄せ合う”疑似家族”そのものである。 個人的には、遊園地の観覧車の中で交わされるドンスとソヨンの会話が印象深かった。彼らは決して本物の家族にはなれない。しかし、確かにこの旅を通して一瞬だけでもかりそめの家族にはなれた。その事実は誰にも奪われないし、決して失われることはない。そんな思いがこの時の二人には共有されていたような気がした。 脚本も人身売買のサスペンスをエンタテインメントに上手く昇華しながら巧みに作られていると思った。夫々のバックストーリーをミステリアスに紐解く構成も大変魅力的で、抑制を利かせた是枝演出も相まって非常に濃密に仕上がっている。人によっては分かりづらいという意見があるかもしれないが、このくらいさりげなく軽やかに語られると想像の幅が広がって個人的には楽しめる。 例えば、スジンはサンヒョンたちの人身売買の現場を押さえようと執拗に追いかけるクールな女性刑事である。そんな彼女が、後半の車中の電話のシーンで涙を見せる。彼女には彼女なりの苦悩があったということが分かり、冷徹に見えていた彼女に一瞬だけ人間味が生まれ愛着の持てるキャラになった。これも実にさりげない演出だが、味わい深い。 全てを描ききらないラストも然り。その後の彼らを想像させるという意味では素晴らしい終わり方だと思う。疑似家族の在り方を改めて示して見せたという捉え方もでき、実に”したたか”なエンディングになっている。 難を言えば、展開を軽快に進ませるためなのか、幾つか詰めの甘さが散見されたことが惜しまれる。 例えば、人身売買が韓国社会でどれほど大きな問題になっているのか。そのあたりの実像が、映画を観ていてもよく分からなかった。報道や警察の捜査の中で表現するやり方もあったと思うが、是枝監督はどうもそこのリアリティに関しては余り関心がないようだ。 また、細かい演出で言えば、サンヒョンを尾行するスジンの距離の取り方が余りにも近すぎるのが気になった。実際にあのような尾行をしたら刑事失格だろう。車に仕掛けた発信機が簡単に見つかっていたし、元来彼女は余り有能な刑事ではないのかもしれないが、そうだとしてもサスペンスとしてはいささか緊張感を失する演出である。 キャスト陣ではサンヒョンを演じたソン・ガンホの飄々とした妙演が印象に残った。普通であれば極悪人になってもおかしくないところを、人の良さを滲ませながら愛すべきキャラクターへと見事に創り上げていた。
様々なカタチの家族を描いてきた是枝監督の、これは一つのanswer
『真実』は仏日共同製作だったが、こちらは韓国映画で、是枝裕和初の海外単独資本の監督作品。
カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュ、イーサン・ホークらを揃えた『真実』は正直是枝監督作品の中でまずまずであったものの、仏米のトップスターを日本人監督が演出するなんて日本人として誇らしかったが、こちらも一切引けを取らない。
ソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペ・ドゥナら韓国を代表するトップスターたち。
何と言っても、是枝裕和×ソン・ガンホ!
『万引き家族』の監督と『パラサイト 半地下の家族』の主演俳優という、カンヌ国際映画祭パルムドール覇者がコラボ!
現在考えられる、アジア圏屈指の監督と名優の贅沢夢の顔合わせ!
是枝監督作品好きでソン・ガンホ好きの自分としては、今年の作品の中でも特に見逃せない一本だった。
様々なカタチの“家族”を描いてきた是枝監督だが、本作もそれに纏わる。
“赤ちゃんポスト”。
正直それがどういうものか詳しく知らなかったが、本作で見知り、後からWikipediaで調べて衝撃。
何らかの理由で子供を育てられない親が、特定の場所に設置されたポストに子供を預ける。
…いや、はっきり言おう。我が子を“捨てる”。
“物”や“ゴミ”ではないというのに…。人の命を何だと思っているんだ? ましてや、我が子を。
親にも苦悩の末の理由があるのは分かる。生活苦、子供を育てられないような状況、自ら下した親の資格ナシ…。
劇中のある台詞が響く。「育てられないなら産むな」
日本にも2ヶ所あるという赤ちゃんポスト。
『そして父になる』製作中に存在を知り、企画を考え始めたという。
ならば何故日本映画としてではなく、韓国映画として?…と一瞬思うが、韓国の赤ちゃんポストの数は日本とは桁違いだという。
日本より韓国での方がしっくり来る題材で、折しも海外進出。ソン・ガンホら韓国人キャストと兼ねてから仕事したかったという熱望もあり、タイミング的にも熟したと言えよう。
赤ちゃんポストが題材だが、ただそれだけが主題ではない。
ある赤ちゃんを巡って、それぞれの事情、立場が交錯していく。
ある雨の夜、赤ちゃんポストの前に赤ちゃんを置いていく若い母親。
それを離れた車の中から見ている二人の女性。
若い母親が居なくなってから、二人の女性の内一人が、赤ちゃんをポストへ。
するとその赤ちゃんを、児童養護施設の若い男と中年の男がこっそり連れ去る。
中年の男=サンヒョンと若い男=ドンスの裏稼業は、子宝に恵まれない親に赤ちゃんを売買する“ベイビー・ブローカー”。
二人の女性は、刑事。先輩のスジンと後輩のイ。“ベイビー・ブローカー”の情報を追い、現行犯逮捕しようと張っていたのだ。
サンヒョンとドンスの目的は、赤ちゃんの売買。
スジンとイの目的は、逮捕。
が、ここで思わぬ事態が。一度は赤ちゃんを手離した母親=ソヨンが思い直して、赤ちゃんを連れ戻しに来た。
赤ちゃん売買の事がバレてしまったが、すでに“買い手”が決まり、里親探しの旅にソヨンも同行する事に。
そんな彼らの後を追うスジンとイ…。
里親探しに実の母親が同行するって、オイオイ…。安心して預けられるかどうかの“品定め”でもある。
最初の交渉相手の夫婦が赤ちゃんを見るなり、眉毛が薄い、父親の職業、分割払いなど難癖や注文を付けてくる。
ブチ切れるソヨン。腐ってもこの子の母親。私が認めたいい夫婦にしか譲らない!…って、そもそも赤ちゃんを手離したのはアナタですよ!
…と言うように、ユニークで一癖も二癖もある人間模様。
赤ちゃんを売買するなんて当然犯罪。でも、やってる本人に悪意はない。サンヒョン曰く、“善意”。
普段はクリーニング店を営み、借金に追われるサンヒョン。だからどうしても金が要る。
養護施設で働く好青年のドンス。実は彼も赤ちゃんの頃施設の前に置き去りにされ、施設で育った身。
ソヨンも赤ちゃんが絡むある“訳アリ”が…。
各々が何かしら複雑な事情を抱えている。
ここに、施設の少年も同行。
基本各地をドライブし、窓を開けて洗車してはしゃいだり、端から見れば“仲良し家族”そのもの。
何かを抱えた者同士が集った時、家族以上の“家族”となる。
やってる事は犯罪だけど、彼らの交流が温かい。
そんな光景を、スジンは…。
法の番人である以上、法で取り締まるのは正しい。
が、自分たちがやってる事は、赤ちゃん一人のこれからに影響が出るのではないか…?
それがいい方か悪い方かに転ぶかは分からない。
もっと分からないのは、“子供を捨てる”という行為。
スジンは夫との間に子供が出来ない。
だからこそ一際、子供を捨てる親の気持ちが理解出来ない。
彼女が逮捕するのは、自分たち夫婦のように子宝に恵まれない親に赤ちゃんを売買する輩。
何かこれ、皮肉にも感じた。
最も複雑な板挟み状態なのがスジンなのかもしれない。
とあるホテルで暴力団幹部の男の死体が発見。
この男こそソヨンの赤ちゃんの父親であり、ソヨンは男を殺して逃げてる身。
暴力団員も赤ちゃんの行方を追う。
そんな時、これ以上ないくらいの好条件で赤ちゃんを買いたいという夫婦が。金額的にも良し、何よりこの夫婦の性格も良し。
決めたいサンヒョンとドンス、決断か否かのソヨン、またとない逮捕の機会のスジンとイ。
“赤ちゃんポスト”から始まった幼い一人の赤ちゃんを巡るそれぞれの思惑の行方は…?
赤ちゃんの幸せか、自分らにとっての良き結末か…?
キャストたちのアンサンブル演技がやはり魅力。
本作で韓国人俳優初のカンヌ国際映画祭男優賞を受賞。ソン・ガンホの人間味たっぷりの味わい深さ。是枝監督とも阿吽の呼吸だったという。
カン・ドンウォンも複雑な役柄を好演。
特に難しい役所をこなしたのは女優陣。刑事役のペ・ドゥナ、母親役のイ・ジウン、母として女性としての苦悩や姿を体現。
ズバリ本作、ハッピーエンドな形で終わる。
韓国映画のこういう社会派題材や『そして父になる』『万引き家族』で観客に委ねてきた是枝監督としては意外な気がした。
ひょっとしたら本作は、これまで投げ掛けてきた“家族のカタチ”の、一つのanswerなのかもしれない。
突き刺さる台詞もあった。
「産まれる前に殺すのと産まれてから殺すのと、どう違うの?」
だけど本作は、誰もが一人の赤ちゃんの幸せを願い、思いやっている。
そこに、優しさを感じた。answerは、是枝監督ならではの優しさであった。
だからこそ、この台詞が響く。
「産まれてきてくれてありがとう」
想像と違った期待以上
“子供を高く売る、ただそれだけのはずだった“という予告編で、何が起こるのか、かなり期待はしていた。 少しサスペンステイストなのかと思っていたら、すごく素敵なヒューマンドラマだった。 今回も『万引き家族』と同じく、家族とは血のつながりだけなのかということが描かれている。 登場人物のほとんどが、本来の家族には恵まれてはいない。 しかしサンちゃん御一行は寄せ集めの似非家族ながら、幸せそうに見えた。 邪魔だと虐待する親もいれば、お金を払ってでも子供が欲しいと縋る夫婦もいる。家族ってなんだろう? ときどき子供が行方不明になったら、人身売買や臓器売買という都市伝説を聞くけど、こういった映画が作られるということは、あながちあり得ないことでもないのかな? 韓国映画には詳しくないけど、ソヨン役の方がすごく良かった。 前半は随分とキツい女だなと思ったけど、中盤から母性が漏れ出して、柔らかい表情になったり、自分の子供を手放す事への葛藤をのぞかせて、別人のような表情を見せた。すごく良い女優さんだなぁと思った。 余談 列車の中の会話で、ソヨンがモルゲッソって言った。
色々あるけど…
子供のとりちがえ 育児放棄、ネグレクト。 望まない妊娠出産 是枝監督の映画は 色々な家族の形があって 修正しようとする、普通って何? 幸せって何かな? 気づいたら自分は大変な人生だったり 物差しが一人一人違うけど ほんの小さな幸せが支えだったりする。 今の自分が幸せだと気付いたりする。 穏やかな気持ちで見る事が出来ました。
一日二本の映画を見るなら順番が大事。
特定妊婦の番組を最近、クローズアップ現代で見た。事情のある母子を行政が救う取組だ。生まれる前から子どもも母親も育てて行くのが困難が想定されたケースだ。自己責任にはさせない。 杉山文野の3人で親になってみた、という本も読んでいた。FTM の杉山さんがゲイのゴンちゃんから精子提供を受けカップルとの間に子を設け育てる話だ。親の手は多い程良いらしい。 釜山の雑多なわい雑さがより人間的だ。ウソンの親はかなりの人数になる。生みの母親、その恋人、刑事、養子縁組夫婦。 見る順番がプラン75の後で良かった。それに救われる。韓国で作られハングルで語られる映画を下関でみる、何重にも絡まった糸の奇跡、その偶然の結果、宿り誕生した一つの命。この広い空の下、生まれてきて良かった、そうさ、人間は人間さ、コカ・コーラというCMソングを私も観覧車に乗って思わず歌いたくなった。
私的3つの弱点を感じるも、終盤のシーンの到達にやはり素晴らしい映画であるとは
(完全ネタバレですので、必ず映画を見てから読んで下さい)
個人的にはこの映画『ベイビー・ブローカー』には以下の3つの弱点を感じました。
1.養護施設出身の人(ユン・ドンス)が赤ちゃんブローカーに関わるだろうか?
2.例えどんな善良な夫婦だとしても、相手の素性を良く知らないまま養子を引き取るなどあるだろうか?
3.女性刑事の描き方が中途半端になっていたのでは?
1.の問題は、(私はよく理解出来ていなかったのですが)赤ちゃんポストで赤ちゃんを迎えに来るというメッセージが添えられていた場合に、その赤ちゃんは親の迎えを待つために養子縁組はされずずっと施設に預けられる。
しかし大抵の親はそのメッセージに反して赤ちゃんを迎えに来ず、それは不幸だ、というのが、養護施設出身のユン・ドンス(カン・ドンウォンさん)がブローカーに関わる理由だったようです。
しかし、その描かれ方はサラリとしていてしっかりと伝わって来ていませんでした。
この解釈(親が迎えに来るメッセージが添えられた赤ちゃんは逆に見捨てられ不幸になる)の動機のまま、養護施設出身のドンスの行動を理解すると、ドンスは100%善意の人になってしまいます。
しかし、100%善意の人が赤ちゃんブローカーに関わることはあるのでしょうか?
もっと別の安全で公にも褒められるやり方を選択していたのではないかと思われます。
つまり養護施設出身のドンスが赤ちゃんブローカーに関わるのであれば、100%善意でない別の理由が必要だったと思われます。
それが明確に描かれているとは思えませんでした。
2.の問題は、例え善良な夫婦だとしても相手の素性を良く知らないまま養子を引き取るなどあるだろうか?の問題です。
今回は特に殺人犯の赤ちゃん(子)になります。
どんなに善意な人であっても、殺人犯の子を自身の子として赤ちゃんから育てるというのは相当な乗り越えが必要だと思われます。
親の素性が良く分からない赤ちゃんを引き取る夫婦はいるのだろうか‥の疑問に対して、この映画では明確に答えられているとは思えませんでした。
3.の問題は、女性刑事の描き方の問題です。
アン・スジン刑事(ペ・ドゥナさん)とイ刑事(イ・ジュヨンさん)は、赤ちゃんブローカーであるハ・サンヒョン(ソン・ガンホさん)とドンスを逮捕するために、赤ちゃんの親のム・ソヨン(イ・ジウンさん)とも内通しながら尾行しています。
スジン刑事・イ刑事の2人は、サンヒョンやドンスが赤ちゃんを売らなければその罪で逮捕できないので、まるで女性刑事側が赤ちゃん売買に熱心かのような逆転現象が起きています。
ところで私はこの女性刑事の描かれ方が中途半端だな、とは思われました。
是枝監督の『万引き家族』では、(私の記憶が違ってなければ)刑事は最後以外は出て来ません。
なぜなら、『万引き家族』では、法的には万引きや子供誘拐の犯罪を行った”家族”を、そのような分かり易い法的な結論理解から先延ばしすることで、私達と変わらぬ人間であることを伝える必要があったからです。
そのために『万引き家族』での刑事の登場は最終盤に引き伸ばされる必要があったと思われます。
ところがこの映画『ベイビー・ブローカー』では、サンヒョンやドンスに関わるスジン刑事・イ刑事の2人の刑事は初っ端から出て来ます。
するとサンヒョンやドンスは(本当は)法的に犯罪の分かり易い結論に初めからさらされることになります。
犯罪者と刑事が双方出てきて、カットバック的に双方の事情を描いて、立体的に映画あるいはドラマを見せるのは全く普通のやり方です。
しかし是枝監督の作風としては、ドキュメンタリー風に登場人物の心情について行く表現方法なので、サンヒョンやドンスが主人公である限り、スジン刑事・イ刑事の描き方は比較的には風景的にならざるを得ません。
是枝監督の作風としては、犯人はこうだ、一方その頃刑事たちは!‥のような具体的で際立つカットバック的な描き方は全く合わないからです。
もちろん『万引き家族』のように刑事を最終盤以外は出さないという手もあったと思われます。
その方が分かり易くもっとサンヒョンやドンスや母親のソヨン達に感情移入が出来たかもしれません。
しかし是枝監督はもうそれは『万引き家族』でやったので、次の新たな表現のために今回の2人の刑事を初っ端からの登場させるやり方をしたと思われました。
ただ、であるなら、もっと特にスジン刑事の背景を(セリフでなく)具体的な描写で描く必要があったと思われます。
もちろんスジン刑事の背景は伝わりはしたのですが、場面の積み重なりとしては若干弱かったと思われました。
様々立場の人物の際立つカットバック的な描写は、是枝監督の作風を弱めてしまう危険性があり、だからこそ刑事の方の描写の踏み込みが(一見は描いてるようで)弱くなったように感じれらました。
(※あとは上で挙げた3点以外に、赤ちゃんブローカーに対する韓国社会としての立ち位置が正解なのかの疑問はありました。
私的には、韓国映画は最後暴力的で決断的、日本映画は曖昧だけど横断的、という一長一短があると感じています。
やはりその国で育った人は本当の意味で深度を分かっているその国で映画を撮った方が良いのではないか、との引っ掛かりはありました。)
ただしかし私的な様々な弱点をこの映画に感じながらも、観覧車の場面で、子を捨てる母親であるソヨンと、母から捨てられた子であるドンスが、疑似的な母子の会話を交わす場面は、感動する他なかったと思われます。
また、ホテルでソヨンが「生まれてきてくれてありがとう」と疑似的な母になって皆に伝える場面は、この映画の優れた到達を感じ、素晴らしい作品であったと言わざるを得ないと思われました。
観覧車の場面と最後のホテルの会話の場面に説得力があったのは、ひとえにそこまで積み重ねられた丹念な映画の時間があったからと思われました。
『ベイビー・ブローカー』は、私的弱点を感じられながらも、それを凌駕する素晴らしい作品であったことは間違いないと思われています。
外れてしまった期待…
予告を観てこれは必ず観に行きたいと思いカンヌ映画祭での受賞の情報以外は入れずに鑑賞。 タイトルと予告から赤ちゃんを裏社会で売買する悪人の話とばかり思っていた。 想像とは裏腹にテンポが悪くて心地悪く感じてしまった。赤ちゃんの人身売買という問題提起からの正義や悪と向き合う機会を期待していた自分に気がつき物足りなかった。残念。
還暦を迎えての、より高いステージへの挑戦に敬服
いわゆる”赤ちゃんポスト”に投函された赤ん坊を誘拐し、借金返済のために人身売買を行おうとするところから始まる。 ”赤ちゃんポスト”のテーマは、かねてから是枝監督が関わりと関心を持っていたものであったが、”委員会”的に障壁の大きい日本ではなく、似たような環境があり、のびのびと表現できる韓国を舞台に選んだのかな?という気がしてきた。 もちろん、29日のNHK「クローズアップ現代」で是枝監督自信が述べていたように、60歳を超えてもまだ成長をしたい…という意気込みを持って、より高いステージに挑戦したところが大きいとは思います。 キャスト、スタッフとも一流どころとのタッグで良い作品が出来上がり、貴重な1歩が踏み出せたと思います。 今回、ソン・ガンホが控え目演技で、最初は違和感があったけど、その分、カン・ドンウォン、イ・ジウン、ペ・ドゥナといった優秀な俳優が周りを固めているため、彼らを引き立てる側にまわって、全体を高めているのかと思えてきた。 中でも、イ・ジウンは徐々に表情が絶妙に変化していて、ストーリー展開を際立たせていた。 観覧車のシーンは特に秀逸で、感極まってしまった。 ラストのオチは賛否両論出そうだけど、自分は何か嬉しさみたいなものを感じて、良かったと思う。 是枝監督…半年の出稼ぎじゃなくて、どっぷり浸かってみては如何でしょうか?
表裏一体の善悪
オール韓国人キャストで韓国映画を撮っても是枝裕和監督っぽさ全開。同じ是枝監督の「万引き家族」や「そして父になる」などと似た雰囲気やテーマがある作品だなぁ。タイトルからして赤ちゃんの人身売買を扱った作品なんだろうな。というのはなんとなく予想出来たが、そこにこれでもかと深く重いテーマをぶち込んで来るあたり是枝監督らしい。主人公たちの捨て子の人身売買をする反面、子供の為に本気で養子縁組を探してあげたり、犯罪や社会問題がテーマの作品なのに家族のような関係になっていく人たちの温かみを感じるロードムービーみたいな側面もあり、常に善と悪が表裏一体になっているような不思議なストーリーでしたね。本作も含めエンディングでもテーマに対する明確な答えは出さないのは是枝作品によくあるが、これはこのテーマについて観た人で考えてみてほしい。ってことなんだろうな。個人的にはこの余白のある、余韻のあるエンディングの手法は好きだけど、最終的に答えを出さないエンディングを嫌う人もいそうだな
初めて見る是枝監督作品です
この映画のテーマは「生まれてきてくれてありがとう」なのかな…と思いました。
この擬似家族は長く一緒にいたように感じたけどほんの数日?1週間くらい?
途中からは、もうこのままずっと一緒にいちゃいなよ。赤ちゃんを誰にも渡さずにみんなで育ててほしいよ。って思いながら観ていました。
洗車機に入ってびしょ濡れになるシーンが一番好きです。
最後にもう一度みんなで洗車機に入ってびしょ濡れになってほしかった…
「赤ちゃんポスト」には是非があるとは思う。
産まれる前に命を絶つのは良くて、産んだ後に捨てるのは罪なのか。
母の気持ちは「捨てる」ではなく「託す」なのかも。
命の売買はもちろん罪だと思う。
でも孤児として育つのがいいのか、養子として育つのがいいのかそれはわからない。
孤児として育ったヘジンは養子になりたがっていたがサンちゃん達は年齢的にもう手遅れだと言っていた。
養子として育てられても途中で実子が生まれたりすると問題が起こる場合があるとも言っていた。
ラストで女刑事さんの家族と暮らす赤ちゃんを見た時、犯罪者が母親になる資格はない!って子供を奪われたのかと思った。でもそうじゃなかった…
5人そろった笑顔の姿が見れなかったのはさみしいけど、赤ちゃんの未来はいくつも選択肢があって明るくひらけているよっていうことなんですよね。
人情味あふれるヒューマンドラマ
赤ちゃんをポストに入れる犯罪の話かと思いきや、親からの愛が当たり前ではない人にも、周りからの愛があれば幸せに生きていける、そんなことを思いながら、あたたかい気持ちになりました。
生きてきてくれてありがとう。悲しく、輝かしいことばだ
捨てられた子を盗んで、欲しがる親に斡旋して金を稼ぐのはいけない事なのだろうが。 捨てられた子たちと、子を捨てざるを得なかった母が絡み、ユーモラスな時間にほどかれていく彼等の優しさが赤ん坊の幸せを一番に思い始める。
家族
家族とは何だろうと いつも問いかけてくる是枝監督 空の遥か上から見れば 幸も不幸も無く 生まれてくたことが 感謝されるもの それはホント 誰も彼もが 生きていて 肯定してくれる まぁ主演男優が上手いよね
正しさでは、割り切れないもの
「…この者は罪人です。見せしめに、先ず貴方が石を投げつけて頂きたい。」 「…これまでに、一度も罪を犯したことが無い方が、石を投げなさい…。」 生まれてこのかた、罪を犯したことの無いヒトって、いるんですかね。そんなヒトからしたら、この世界は、どうしようもない宿業の煉獄かも。でもそんな火宅の中で、泣いて笑って、今よりマシな未来を希求するのが、ヒトなので。 正しさから、はみ出す生き方。私はおすすめしません。でも気が付いたら、はみ出してる。そもそも、私の正しさが、全世界で通用するの?。 本作に登場する方々、どうにも肩入れするのに抵抗があるキャラばかり。いい人ではない。友達になれそうもない。でも、悪い人ではない。むしろ愛すべき人々。そんな、正しさでは割り切れないものを持つ人達。そんなヒトたちが大切にするものとは…?。皆で支え合って、手に入れようとするものとは…?。 彼らを石打ちする程、罪なき生き方をしていない私は、どうしたらいい…?。 「17才の帝国」 「ベイビーブローカー」を観る前夜、某国営局で深夜3時まで放送していたお陰で、映画館で睡魔と格闘する羽目になった私ですが、だからこそ、見えてきたものがあります。全く異なる2作から、全く同じ問いかけが届きました。 近い将来、世界は今より悪くなる。その時、貴方はどうするつもりですか?。 そんな問いかけが、重く朦朧とした私の意識に、突き刺さりました。皆様も、是非お試し下さい。結構、キツイですよ。
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