ベイビー・ブローカーのレビュー・感想・評価
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是枝監督が選んだ次のフィールド、文化を汲んだドラマが魅力的
『万引き家族』以来の是枝監督作品。すっかり海外をフィールドに移したイメージだったけど、家族の愛は万国共通。むしろ、描きたいモノをこだわるために海外に行っているんだろうな…と思った。
家族とは何か…。赤ちゃんの取引を介した重いストーリーだと思っていたが、重くならないような工夫が散りばめられており、観やすさが光る。個々のキャラクターに感情の比重を乗せすぎず、関係性の変化によって感情がグラデーションしていく。同時に、ロードムービーとしての高揚感も持ち合わせており、半島を横断する様はどこか微笑ましい。
韓国には「赤ちゃんポスト」があることにまず驚いた。それによって助かる命も多いと思う。日本で捨てられた赤ちゃんのニュースを触れることが多いだけになおさら。その中で、「生まれてくれて、ありがとう」と言える日は来るのか。個々の立場を感じつつ、グルグルとその正義が頭を巡る。誰も願う幸せはそうズレてないはずだから。
いい意味で裏切られた…。韓国の事情を上手く取り込みながら、魅せてくれたのも凄く勉強になったし発見も多かった。是枝作品の過去作、今一度見返してみようかな。
尻切れトンボ
続・万引き家族
是枝監督作品は、初めて観た「誰も知らない」(04)以降、どちらかという苦手な作風でした。頭で理解できるのに感覚的にしっくりこないような…。少し変わったのが「海街diary」(15)で、「万引き家族」(18)も強く共感しました。という流れだったので、「期待しすぎてハードルを上げてはダメだ!」と自制しながら、カンヌでも話題になっていたので、ついつい期待して観ました(笑)。個人的には、今までで一番好きな是枝作品になりました。そこにあるテーマは、今までとある意味同じ、疑似家族の絆を描いて家族の有り様を問うものかと思います。主人公ハ・サンヒョン(ソン・ガンホ)らがやっている商売は犯罪行為で、白黒でいえば完全に黒!しかし、現実社会が白黒判定だけで解決せず、様々な矛盾を含めて成り立っている現状を考えると、たちまち正解がわからなくなります。そういった曖昧な闇に真摯に目を向けて、家族や社会のあり方を、まるで自問自答するように作品を作り続ける是枝監督の熱意に感銘を受けました。僕にとってのカギは、登場人物に共感できるか否かだったと思いますが、その点で、ソン・ガンホさんと、赤ちゃんの母親役イ・ジウンさんでよかったと思いました。
刑事サイドの視点が面白い
是枝裕和監督最高傑作
ざっくりひと言で言ってしまえば…
ロードムービーをバックに
「万引き家族」と「パラサイト 半地下の家族」
を、足して2で割ったような作品だった
競争がし烈な韓国社会
貧富の差は日本以上かもしれない
そんな社会の底辺で、暗い過去を背負い、
犯罪に手を染めるような生き方しかできない3人の登場人物たち…
そんな3人が、ソヨンが捨てた赤ちゃんをきっかけに、家族のような温かい関係になってゆく
車窓を流れる韓国の美しい風景とともに、
それぞれが自分に流れてきた時間を振り返り、
「生まれてきてくれてありがとう」という言葉が胸に落ちるまでの心情の変化を、
時にユーモアを交えながら、是枝監督の優しい視線が丁寧に追ってゆく
この3人と対極的な存在として登場するのが
女性刑事二人組
スジンはリーダー的ポストで、社会的には成功者じゃないのかな…と思うのに、子供がおらず、どこか満たされていない
社会的弱者も成功者も、どこか満たされない
そんな韓国社会の息苦しさみたいな雰囲気が、
冒頭の土砂降りの雨のシーンによく表されていた気がする…
ソヨン役のイ・ジウン!
こんなにセリフが少ないのに、目線や表情、仕草で胸にぐっとくる演技ができるなんて!
その演技力は新鮮な驚きでした
ザ☆是枝映画
「親になれば分かる」もの
韓国映画というと、過剰な暴力表現やエロ描写などのため、個人的には生理的に受け付けないのですが、今作は日本人監督ということもあり安心して鑑賞出来ました
ただ、例えば本場の韓国キムチが好きな方には、日本で売っているキムチでは辛さが足りないように、今作品も韓国の方や韓流ファンには物足りなさを感じるかもしれません
是枝監督の作品は何と言っても脚本が秀逸で、語りすぎずに行間を読ませることで、観客の想像力に委ねてくるところがあります
今作も、自分自身の人生や家族に想いを重ねることで、ジンワリ自然に涙が滲んでくるような作品で、そこは好みが別れると思います
また、異文化や言語の壁を越えたチャレンジ精神に1点追加、ということで、大変素晴らしい作品でした
家族写真が一枚もない
私は崩壊した家庭で育っているので、家族写真が一枚もない。物心ついたときから憎みあっている両親しか知らずに育ち、その後、親の病気や自殺未遂もあり家庭は地獄みたいだった。当然、家族旅行とか家族団らんの記憶もない。
幸い、学校での人間関係が良好だったので、さみしさはあまり感じなかった。
大人になった今、男女が愛し合い暖かい家庭を築くということの重要性は痛切に感じる。でも高い離婚率や未婚率を見ると、それってもしかしたらレアなことなのかもしれないとも思う。
自分の中を見ていくと、幼少期の環境とそこで受けた傷というのは、自分の潜在意識深くに根をはっていて、自分の考え方や行動に影響を与えているのが分かる。
それを癒すことは何年も続けていている。
各シーンはハイクオリティ、でもトータルとしては妙にアンバランス
うーん…万引き家族がインパクト大だったので、あの是枝監督が海外で撮った作品ということで色々と期待値が上がりすぎていたのか。。
なんというか、色々あったけど最後は小綺麗にまとめたなあ、という印象でした。まあ、タイトルからしてその印象はありましたが、登場人物に毒が無さすぎるというか…登場人物(脇役含む)の言動やバックグラウンドが用意されたもの感が強くて感情移入できずサラサラと鑑終えてしまった感じです。言葉を選ばずに言えば浅薄。
列車移動時のトンネルでの陰影の使い方、車の窓に張り付いた花びらを取る仕草、観覧車での目隠し会話やモーテルで電気を消して感謝を伝える場面など各所で見どころは多くあったのですが、なんというか全体で有機的に繋がっておらず、各シーンで良いカットを撮るためだけに用意された設定、演技、演出の感が強い。
もう少し俯瞰的に見ても、ブローカーという設定、序盤のビデオを消したりするところのやりとり(結構洗練された犯罪組織なのか?と思ったら全然そんなことなく、何の伏線などでも無くただのバイトやクリーニング屋さん)、警察の執拗さ(ここまで四六時中張り付くような事案なの?てか利用とか言ってるけど、殺人事件の犯人逮捕の方が圧倒的に優先事項では?)、疑似家族としてのやりとり(何だかんだ道中みんな仲良しで特に変化なし、ヒロインと警察との取引って必要だったの?)などなど、それぞれが妙にアンバランスで。韓国の人が見たら色々共感できるのかなあ。。
大きなお世話かもしれませんが、是枝監督が本当に表現したかった作品になっているのか疑問です。キャスト、スタッフと細部までしっかりコミュニケーション取れていたのかなあ…韓国側の関係者のスキルの高さは伺えましたが、うまく監督の表現したいテーマとそこが噛み合ってなかったような感想を持ってしまいました。
期待して見たが、「う~ん、どうなんだろう」な作品
カンヌ映画祭で、ソン・ガンホが最優秀男優賞を受賞した話題作なので、期待して見に行った。
まず、設定が面白い。産んだ子を赤ちゃんボックスに預ける若い母親。その赤ちゃんを密かに売るブローカーと彼らを追う刑事。ブローカーと母親が一緒になって、養父母探しに出るロードムービーだ。是枝監督が「家族のあり方」をどう見せてくれるか。
カンヌでは、上映後スタンディング・オーベーションの拍手が12分間続いたそうだが、少なくとも私はそういう気にならなかった。生まれた命やその人生がテーマなので、監督のヒューマニズムを映像で提示することが必要だと思う。しかし、部分的にはあったが、後半の展開が全体の構成を壊してしまったまま終わり、私には「?」だった。
브로커になってしまった賞評価
正直に言えば、『万引き家族』の二番煎じであって、樹木希林の代わりに송 강호を据えたっていうところだ。映画としては、前作を踏襲し、ややいじった感じの二流。
まさに、作品そのものが題名通り브로커だからこそか?自分の思いで、作品を「買取」たいと思っている連中にとっては「いい作品」なのだろうが。
そんな思いが、陳腐な映画評にも現れている。
社会的弱者が支え合う単位としての疑似家族・・とか
深淵な響きを放つ秀作・・とか
「人間の根源的な物語」として昇華させた作品・・・とか
地に足のついた深い人間模様があった・・とか
アホなコメントが、トップに来てるのはなぜだろうか?
ラーメンを食って、高級フレンチでも食べたかのような気になっている連中はめでたいと言うしかない。
「生まれてきてくれてありがとう‥‥」って、これってantinatalismが一気に吹き飛んでしまう幼稚な台詞。
・・・違う。そう言わなければならない状況を、少しばかり事件を絡ませて「説明」してはいたものの、ストーリーの「回収」があまりにも安易だった。
송 강호の演技も、今までも彼の演技を知っているならば、特筆すべきものではない。
강 동원。반도もそうだけど、逃げてばかり?
배 두나。もったいない!どんな役をさせてるん?もっと、濃い役させて!彼女に、この役必要だったのだろうか?
巷では송 강호ばかりを取り上げる無知マスコミばかりだけど、강 동원や배 두나のことも取り上げなくちゃ!そして、この3人が、全員、本当の意味で「役不足」であったことを指摘しなきゃ。
-なぜ、しない!その程度なのだろうか?この業界は?
-あ、河瀬直美の作品が「爆死」しているにもかかわらず、なんとか話題にしようとしている体質から?
さらに言えば、こんな安易な幕尻をといえば、
最後の数分は何だった?
夏休みの宿題を終わらせるベイビーのように、予定調和的に安堵させる展開に持っていきたかった?
家族が「擬似」であり「似非」であったのであれば、
どうか、最後は十分に散逸させて欲しかった。にもかかわらず、最期まで「家族」に固執する映像、ストーリー。
是えだも是までか?
と言うより、
いつも思うのだが、
このサイトに提灯意見、書くのはやめようよ!
20歳のわたしから
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