ベイビー・ブローカーのレビュー・感想・評価
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胸の内
複雑な脚本というか、表に出てくる事柄とは全く違う筋がもう一層あるような脚本だった。
センセーショナルな題材ではある。
韓国風にもっとドス黒い作品にも出来たはずではあるのだが、人の暖かさを感じてしまうような作品になってた。詰まる所…焦点がボヤけるというか、んー…まぁ、そんなに単純な話なんて映画の中にしか転がってないんだろうな、とも思う。
「赤ん坊」に対する視点が、皆んなバラバラで、それを扱う理由も様々なのだけど、そんな連中が「赤ん坊」を介して擬似的に家族になっていく展開は面白くもあり、同時に切なくもある。
それだけ無垢な存在なのだろうと思う。
ただ、まあ、そんな無垢な存在を純粋に金儲けに使ってる連中もいなくはない。
男2人も、結局は金を手にする手段として、養子縁組を利用してはいる。
公にしたくない理由を持つ買い手もいるのは確かなのだろう。足の付かない商品を欲する理由もあるのだろう。彼らがキューピッドと自分達の事を表現するのは、言い訳にしか聞こえないけれど。
矛盾を大いに孕む作品だった。
それが人間なのだと言えばそれまで。
日本人の監督が、わざわざ韓国でコレを撮ったのも頷ける。日本ではこの脚本を昇華しきれないと思う。
韓国でなければ、韓国の俳優達でなければ、このとてつもなく曖昧な人間模様にたどり着けはしなかったろうなと思う。
なんちゅうか…居心地の悪いぬるま湯にずっと浸かってるような印象だった。
あまり、起伏はなく、何と対峙してるのかも、今は分からない。そんな感じ。
■追記
特殊、なのだよ。
万引き家族の時もそうだったけど、舞台設定がぶっ飛んでて比較対象が見当たらない。
そのくせ、そこに生きる人間達の言動には、いちいち共鳴してしまう。不思議な体験なのだ。
今回もそうだ。だからこそ混乱する。だからこそ集約される。人の葛藤が浮き彫りにされていくとでも言うのだろうか…。後ひくわー。
ん?と思うところも雰囲気で─
正解のない優しさ
いつのまにか旅の参加者になれます。
ざあざあ雨に古びた街の姿が滲む夜
赤ちゃんポストの下に置かれた赤ん坊。
そこから始まる「赤ちゃんを高く買ってくれる養父母探しの旅」
ブローカーの男サンヒョンとドンス、売りものにする赤ん坊ウソンと母ソヨン、養護施設の少年へジンも途中から飛び入りし出会ったばかりの5人を乗せて進む車。
後を追うのはブローカーの実行犯逮捕を狙う女性刑事スジンとイの車。
韓国で深刻な社会問題にもなっている闇稼業。
その犯人逮捕へのドラマだけを想像していたなら、え?え?え?となる。
重い事件性を匂わせつつも、ブローカーの車の漫画のようなオンボロ具合やところどころ笑いを誘うコミカルなやりとり、少年との微笑ましい会話やその表情など幸せでたのしい雰囲気がたくさん散らばっていてつい忘れそうになるが、いかん、いかん。。。彼ら、れっきとした人身売買に関わり中。
だが、その奇妙な出会いの意味やいかに…なのだ。
道中、一緒に過ごし相手の人生の裏側を知ることで家族のような関係性が生まれ、やがてそれぞれが自分自身をみつめ返す時間となる。
この心情の微妙な変化の描写がみせどころであちらこちらに仕掛けられてるのを私たちは繋ぎ合わせるように見入ることになる。
ひょうひょうとして調子のよいサンヒョンの別れた家族との寂しい関係、ドンスの生い立ちがつくる影、ソヨンがウソンを手放すまでの悲しい理由、やんちゃなヘジンの境遇と幼き無邪気な希望。そしてクールな刑事スジンの背景も、だ。スジンに関しては直接にはほぼ語られないのだが
彼らにかかわりながら見え隠れしていくのを見逃せない。
特に、雨にぬれ車窓についた花びらを座席から手を伸ばし掬い上げていくしぐさは印象的で彼女の中の葛藤、不安感、さみしさなど人間的な部分を静かに露呈している。図らずも、、の演技が素晴らしい。
チーム長として気丈で頼もしいキャリア像がある故に真逆な一面を思いがけず目にしてしまった申し訳なささえあった。
そして、観るものに人は皆、360度いろいろな事情と思いを重ねそこに存在しているんだよということを思い出させるのである。
また、「傘」というワードで気持ちのかたむきを会話に込めたドンスとソヨン。
宿泊先や車や観覧車の中でのものだ。
どこも安定していない流動性のある場所で、それが不確かなものをみるときにすっと光をあててみたくなるような、でも怖いような、、そんな、ちょっと懐かしくもあるじりじり感を増しているように思う。
かつて親に捨てられた立場の彼がそれを許せる心境をむかえるとき、側にいたのは今まさに子を捨てようとしているソヨン。
ふたりに流れる空気にじーんときた。
どうしようもない雨に濡れながら、我が子を置くしかなかった彼女に、小さな傘が横からゆっくり開き、だんだんと大きな傘にかわって包まれていく感覚だった。
不意に始まったこの旅は、傷をもったお互いの心に寄り添いながら変わりゆく自分を見つめる旅だった。
観客はいつのまにかそれを擬似体験する旅の参加者になり、何かしらの思い出を胸の底に得るのだとおもう。
どちらが善でどちらが悪か
中絶の是非が世間を賑わせてますが、
この映画は出産した子供を手放すことを
選んだ母親が巻き起こしたお話。
子供が欲しくてたまらない人もいれば
産まれた子供を手放す決断をする人もいる。
命の大切さだけを説かれても、
一つの側面からしか見なければ
問題は問題のままになってしまうのかも。
なんて思わせてくれた素敵な作品でした。
行動だけ、結果だけで判断するのではなく、
その過程に何があったのかを知ることで、
善悪だけで判断すべきでないこと
時には誰か何気ない愛が助けになることも
あるのかもしれない。
最大多数の大きな幸福ではないけれど
小さな希望を持てるお話でした。
特に女性は妊娠に関して
色々苦しむときもある思いますが
少しだけ気持ちが楽になれる映画と思いました。
イ・ジウン
人身売買か非合法の善意なのか
赤ちゃんポストで捨てられた赤ん坊を500万ウォンで売ることを副業で行っている主人公は20代前後の若い女性が捨てた赤ん坊を売るために韓国中をクリーニング屋の車で転々と旅していく。思ったより暗くなく、コメディ的な映画で観終わった後、感慨深い気持ちになれました。主人公は決して立派な大人ではないですが、倫理観や赤ちゃんに対する愛情をしっかり持っていてとても人間味のある人物でした。
是枝監督はグレー(狭間)な部分を描くのが本当にうまくて、洗車中に車の窓を開けたり、警官にクリーニングの車で遊園地に行くと嘘をつくシーンなど、ありえないけどありえる場面が随所に出てきて映画好きの期待を裏切らないとてもユーモア溢れる映画でした。
個人的に印象深かったのは、三組目の里親夫婦がウソンくんに授乳するシーンでした。それを見ていた生みの親スジンが自分の胸を掴む瞬間、「女性が子供を産むと母乳が出る」という一般常識すら知らないスジンは、おそらく母性が芽生えていなくて義務感でウソンくんの面倒を見ていたんだと感じました。
遠くに行けるように
主演ソン・ガンホの人間味に溢れたおかしみのある演技が秀逸。そのなんとも言えない魅力は、「 イケおじ 」デ・ニーロか、ソン・ガンホか✨( ← 個人の見解です。)
行動を共にし、本音で語り合ううち、ひとつの家族のように絆を深めていく描写に引き込まれた。
ソヨンが犯した罪の重さを、今ひとつ描ききれていなかった点が惜しまれる。
ー眉が薄い
ーそんなふうに生まれ変われるといいのに
ーかわりにソヨンを許すよ
映画館での鑑賞
家族の定義とは何か
犯罪だけど、性根は腐ってない
疑似家族系&ロードムービー系映画。 本年度ベスト。
上映時間が少し長め。
多少のストレスはあったけど見応えがあった印象。
なぜ韓国で本作を作ったのか疑問。
調べたら韓国の赤ちゃんポストが多く問題になっていると言う事で納得。
二人のベイビーブローカー。
子供を売りたい母。
売られる赤ちゃん。
何故か施設のチビッ子。
このメンバーのロードムービー。
これに加え、いつも車内でご飯食べてる二人の女性刑事が登場。
食べ物があまり美味しそうで無かったのが残念(笑)
子供を売りたい母。
ソヨンの気持ちが切ない。
最初は心を開かない笑顔の無い表情。
徐々に笑顔になっ行くソヨンが良い。
ブローカーのドンス。子供を売るブローカーだけど全然悪い人には見えない。
子供達に人気がある心の優しい感じが印象的。
クリーニング屋のサンヒョン。
借金の為に赤ちゃんポストの子供を売るけど、彼にも事情があっての行動。
子供との食事のシーンが泣ける。
子供を売りたいソヨンの過去が衝撃的過ぎた。
ラストも疑似家族を連想させる、あるアイテムが良かった。
鑑賞中、何故日本の役者を使わないかと思って観てたので、
サンヒョンを佐藤二朗さん。
ソヨンを松岡茉優さん。
ドンスを坂口健太郎さん。
女性刑事の部下をあいみょんさん。
と勝手に置き換えて鑑賞してました( ´∀`)
俳優の演技は満点もストーリーにはがっかり
今年楽しみにしていた是枝監督の最新作だが、俳優の演技は満点もストーリーには尻切れトンボ感があった。俳優の演技は満点。特にIUことイ・ジウンの演技はソン・ガンホ、カン・ドンウォン、ペドウナ相手に堂々とこなした点は見事。しかし、ストーリーは減点。どこか淡白で尻切れトンボ感がいなめない。赤ちゃんポストをテーマにしている本作の内容だが、赤ちゃんポストだけではなく日本で問題となっている幼児虐待の報道も頭に入れて本作は観たほうがいいだろう。題名もマイナス。もう少し工夫があっても。韓流エンタメの人気者の演技がうまくてもストーリー次第で台無しになる事を思い知らされた。残念ながら合格点はあげられない。
ほっこりロードムービー
言いたい、言われたい一言
肝心なところがひっかかる
是枝裕和監督が手がけた韓国映画
いわゆる赤ちゃんポストに預けられた乳児を巡る物語、韓国では Baby Boxと称されて毎年それなりの数の保護実績があるらしい
ほとんどのケースで実質的には捨てられてる訳だけど、赤ちゃんが往々にして「必ず迎えに来るから」とかのいい加減なメッセージを握らされてるから俄然いろいろややこしくなるそうで
子供が欲しい気持ち、養子縁組への需要がそうこうして社会的に満たされないとき、反社会的な人身売買の仕組が補完的に供給を担う
そんな "ブローカー" があのソン•ガンホ、他の俳優さんもみなさんさすがの出来、でも一番素晴らしかったのは、乳児役の乳児
非常に興味深い
が、大元がどうしてもひっかかったなー、本当にこの裏の仕組をそうと知られないように使うなら、出生証明とか住民登録とか相応に緻密な仕込みがいるはずで、そしてそうであるがゆえに、こんな雑な業者には頼らんだろう
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