「期待に反して、正直微妙でした。」ベイビー・ブローカー beast69さんの映画レビュー(感想・評価)
期待に反して、正直微妙でした。
是枝監督が初めて作った韓国映画。韓国製作で、俳優も韓国人、言語も韓国語。アカデミー賞を掴んだ韓国映画『パラサイト』でもお馴染みのソン・ガンホをはじめとして、俳優陣は優れたメンツばかりの豪華キャストだし、「これは傑作に違いない」と前から期待していて、初日に観に行きました。
ところが・・・期待に反して肝心のストーリーや脚本が微妙過ぎて、世界観に入り込めず。俳優陣の演技は抜群に良かっただけに、非常に残念。それぞれの人物描写の深堀りが足りてないので、感情移入しにくいのも一因か。そこそこ面白いシーンや魅了させるシーンもあるのだが、全体的な内容としては物足りない感じで、「ええ~っ、こんな映画だったんだ」とガッカリ感が上回ってしまった。クライマックスはソンホが寝室で例のセリフを語る場面で、個人的にも好きなシーンなのだけれど、そこに至るまでのストーリーがイマイチ入り込めない無理な設定が多かったせいで、思い切り感動も出来ず、勿体ない印象。
是枝監督の好きな世界観なのか、人間味溢れる素敵な善人ばかりが偶然出会って「疑似家族」の世界を作り上げて、それまでの伏線を安易に収束させて、リアリティの無いファンタジーの世界に行かされて、終わってしまったような感じ。どうにも尻切れトンボ感が否めない。正直言って、映画が終わった後、「うーん、これじゃない」というモヤモヤ感が残って、とても満足には至らない作品でした。私は映画館で他の観客の反応や空気感を感じ取るのも一つの楽しみなのですが、この映画が終わった後の観客達の表情や動作から、明らかに満足したとは言えないものを肌で感じました。ネットのレビューでは高評価が多いようですが、何か忖度めいたものを感じます。
この映画を親しい人にオススメ出来るかと言えば、ありえません。「オススメされたから観に行ったけど、自分にはイマイチ響かなかった」と言われる可能性が高いので、とてもオススメなんて出来ません。そんなわけでちょっと厳しいですが低評価になります。