「「捨てた」のではなく「守った」で子供は納得するだろうか。」ベイビー・ブローカー はるたろうさんの映画レビュー(感想・評価)
「捨てた」のではなく「守った」で子供は納得するだろうか。
雨降りしきる中、我が子をBABYBOXの前に放置する若い母親。その子を金に換えるため動き出す借金まみれのうだつのあがらないおっさんと、母親の愛に餓えた養護施設出身の相棒の男。更にそのブローカーを現行犯逮捕するためあとを追う刑事。
てっきり赤ちゃんの命など二の次で金の為だけにブローカー業を行う極悪人と刑事との鬼気迫る裏社会の攻防を描いた物語かと思っていました。
なんならむしろハートウォーミングな旅物語だった。クスッと笑えて、なぜか優しい気持ちにもなる。一時の疑似家族を乗せたボロボロのワンボックスのあとを長らくシャワーも浴びていない執念の女刑事が乗るゴミだらけの車が続く。いくつもの視点からそれぞれが赤ちゃんの未来を想う。誰にだって話せない家庭の事情がある。その事情を知ったら感情移入だってしてしまう。しかし犯した罪の罰は受けなくてはならないし、受けさせなくてはならない。失笑しながら「私たちの方がブローカーみたい」と呟くシーンは実に良いシーンだった。
さて、是枝監督様。これは日本が舞台ではダメだったのでしょうか。私はやっぱり日本で挑戦してほしかったです。だって舞台こそ韓国でしたけど、日本の話みたいでしたよ。
コメントする