「是枝監督が選んだ次のフィールド、文化を汲んだドラマが魅力的」ベイビー・ブローカー たいよーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
是枝監督が選んだ次のフィールド、文化を汲んだドラマが魅力的
『万引き家族』以来の是枝監督作品。すっかり海外をフィールドに移したイメージだったけど、家族の愛は万国共通。むしろ、描きたいモノをこだわるために海外に行っているんだろうな…と思った。
家族とは何か…。赤ちゃんの取引を介した重いストーリーだと思っていたが、重くならないような工夫が散りばめられており、観やすさが光る。個々のキャラクターに感情の比重を乗せすぎず、関係性の変化によって感情がグラデーションしていく。同時に、ロードムービーとしての高揚感も持ち合わせており、半島を横断する様はどこか微笑ましい。
韓国には「赤ちゃんポスト」があることにまず驚いた。それによって助かる命も多いと思う。日本で捨てられた赤ちゃんのニュースを触れることが多いだけになおさら。その中で、「生まれてくれて、ありがとう」と言える日は来るのか。個々の立場を感じつつ、グルグルとその正義が頭を巡る。誰も願う幸せはそうズレてないはずだから。
いい意味で裏切られた…。韓国の事情を上手く取り込みながら、魅せてくれたのも凄く勉強になったし発見も多かった。是枝作品の過去作、今一度見返してみようかな。
コメントする