劇場公開日 2022年6月24日

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「人身売買か非合法の善意なのか」ベイビー・ブローカー keytonさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0人身売買か非合法の善意なのか

2022年7月4日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 赤ちゃんポストで捨てられた赤ん坊を500万ウォンで売ることを副業で行っている主人公は20代前後の若い女性が捨てた赤ん坊を売るために韓国中をクリーニング屋の車で転々と旅していく。思ったより暗くなく、コメディ的な映画で観終わった後、感慨深い気持ちになれました。主人公は決して立派な大人ではないですが、倫理観や赤ちゃんに対する愛情をしっかり持っていてとても人間味のある人物でした。
 是枝監督はグレー(狭間)な部分を描くのが本当にうまくて、洗車中に車の窓を開けたり、警官にクリーニングの車で遊園地に行くと嘘をつくシーンなど、ありえないけどありえる場面が随所に出てきて映画好きの期待を裏切らないとてもユーモア溢れる映画でした。
 個人的に印象深かったのは、三組目の里親夫婦がウソンくんに授乳するシーンでした。それを見ていた生みの親スジンが自分の胸を掴む瞬間、「女性が子供を産むと母乳が出る」という一般常識すら知らないスジンは、おそらく母性が芽生えていなくて義務感でウソンくんの面倒を見ていたんだと感じました。

keyton