「重く苦しく…ないか」ベイビー・ブローカー aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)
重く苦しく…ないか
是枝監督で、カンヌ上映、ソンガンホ主演…などなど、結構話題作だと思うのだけど、その割にスクリーンが小さかった。割引デーかつ、たまたま小箱の上映回にあたっただけなのかもしれないが、久しぶりにかなり前の方の席になってしまった。
それはそれとして、内容は期待通り。赤ちゃんポストの社会的な課題を下地に、人生の過去を抱える無関係な人々が絡みあいながら、少しづつ歩み寄っていく。赤ちゃんを売りに行く過程で旅をするロードムービー仕立ての趣向。「捨てる」側「捨てられる」側のヘビーな事情を想像させつつ、結構ドロドロの背景が見え隠れする、重苦しいテーマではある。淡々とした展開ながら、それぞれのシーンの表情や仕草で感情を表現した画に、気持ちを読み解く面白さがあったので、退屈はしなかった。
「赤ん坊を売る」という重い内容なのに、ソンガンホの持つ雰囲気が物語を殺伐とさせず、観ながら重くならないのが良い。
韓国女優で好きなぺ・ドゥナも、ガンホ演じるブローカーを追う刑事役で登場。「グエムル」の頃のイメージを残しつつ、芯のあるキャリア女性をカッコよく好演。なぜか我が子を売る旅に同行する若い母親役のイ・ジウン。私は多分初見だけど、韓国では人気歌手のようですね。松岡茉優に似ていて、「万引き家族」を少しイメージしたかな。
全編静かな進行なのだけど、ラスト10分ほどで怒涛の展開。切なくも、物語にきっちり落ちを付けた、本作のラストは良かった。安心して観れる快作です。
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