「赤ちゃんを巡った家族の成形」ベイビー・ブローカー カイトさんの映画レビュー(感想・評価)
赤ちゃんを巡った家族の成形
土砂降りの夜、1人の女が赤ちゃんを捨てた。この赤ちゃんを巡り、ブローカー、母親、ブローカーを追う警察の物語が動き出す。
本作を観て心がじんわりと温かくなり、生きることを肯定されたような前向きな感情を抱いた。
子を捨てざるを得ない母親、人身売買と言った現代社会に暗い影を落とすテーマを取り扱った本作だが、このように温かく描き切ったのは是枝監督の成せる技だろう。
キャスト陣も朗らかで穏やかな観ていて微笑ましくなる演技をしていて安心感があった。特にソンガンホの呑気で飄々とした立ち姿は本作の輪郭を鮮明にしていた。カンドンウォン、ペドゥナ、イジウンなど主要キャスト全員が赤ちゃんと関わっていく内に穏やかな表情に変わっていき、売るだけのはずだった赤ちゃんの幸せを純粋に願い、奔走していく中で他人だった5人が1つの家族になっていく様子はただただ美しかった。
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