「赤ちゃん万引きそして父になる」ベイビー・ブローカー アローさんの映画レビュー(感想・評価)
赤ちゃん万引きそして父になる
是枝監督は奇妙な家族愛を作り上げるのが好きだ。血の繋がりには特にこだわる。今回の作品は、赤ちゃんポストに捨てられた子を闇で売りさばくブローカー、捨てる母親、産めない女性、養子が欲しい夫婦のそれぞれの事情がしっかりとらえられて進行していく。韓国の現在のお国柄をよく表現している。冒頭の土砂降りの階段のシーンは、奥手に高層マンションがそびえたっていて手前が貧困街と貧富の差が激しいことがうかがえる。「パラサイト半地下の家族」を思い出させる。とても悪人には見えないブローカーの2人と、捨てた赤ちゃんを取りにきた母親との奇妙なドライブが始まる。旅をするうちにそれぞれの境遇が化学反応を起こしたような、不思議な情が生まれていく。何の為に生まれてきたのか。家族とは。血の繋がりとは。幸せとは。様々な感情が問いかける良い作品でした。
コメントする