「韓国映画なのが惜しい」ベイビー・ブローカー ささささんの映画レビュー(感想・評価)
韓国映画なのが惜しい
乳幼児の死体遺棄や児童虐待がテレビや紙面で報道されるたび、なんで母親ばかりが罪に問われて母親を捨てた子供の父親は一切罪に問われないんだろうと思っていたのですが、是枝監督もそう思っているんだろうなという内容でした。
劇中に登場したベイビーボックスは韓国に実在する施設だそうで、もしかしたら韓国にもこのような問題があるのかもしれませんが、あまりにも身に覚えがある内容なので、なんで韓国映画として撮ったのだろうと疑問に思いました。私自身IUさんが好きだから見に行ったし(そもそも映画館が苦手なので出てなかったら見に行かなかった)、演技が演技と思えないあまりのリアルさで一瞬の寒さもなく集中して見れたので、韓国映画としてあることに不満があるわけではありません。疑問に思ったので是枝監督のインタビュー記事も読んで、韓国映画として撮影した理由も理解できましたが、私が見に行った劇場は、賑わいのあるショッピングモールの中の、田舎だけど映画によっては席が埋まっていてチケットが取れないこともあるような映画館なのに、公開三日目でしたが上映回数はたった3回、席数が少なめの奥の方にあるスクリーンで、コロナの席数制限とは関係がないことがはっきりわかるような空席具合でした。日本には韓国というだけですべてを嫌う人も多いし、韓国映画をスクリーンで上映することがポピュラーじゃないのだと思います。実際、某洋画は数週間前に公開したと思いますがまだまだ上映回数5回以上(字幕版吹替版合わせればもっと)、一番大きなスクリーンで上映中です。
だからこそ、是枝監督の日本映画として、日本の俳優が演じて(カンヌ出品作として)この映画があったなら、もっとテレビで取り上げられて、もっと大きなスクリーンで、もっと色んな人がこの映画を見に劇場に足を運んで、もっとこの社会問題が浸透したんじゃないかと惜しい気持ちもあります。
映画には大満足です。