「リアリティとフィクションの具合がどうも馴染めず」ベイビー・ブローカー ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
リアリティとフィクションの具合がどうも馴染めず
うーん、思ってたのと違ってた、と後ろのカップルが言っていたけど、自分は合作の弱点が出たのかな、と思った。前のフランスとの合作は観てないけど。
逆に『万引き家族』は、日本側の撮影・美術の力、そして俳優独自の力も相当あったんだな、と気付かされる。特に俳優で言うと、日本チームはたぶんセルフの演出が効く俳優が多かったんじゃないか、と。
プロット的にはとても魅力的な内容で、しかも赤ちゃんの売り買いは日本ではリアリティ的にどうかというエグいネタを韓国で、というのはうまい。さすが社会派。ただ、これはもうコメディにしちゃったほうが面白かったのではと思うくらい割と前半から間延びしている。リアリティに寄るのかフィクションに寄るのかがどうも中途半端。なんか向こうの俳優も是枝的なものに対応しようとしているのか良さが一向に出てこない。特にペドゥナはもったいないな、、と。
逆にこの台本で韓国の監督が撮ったほうがよかったのでは、とか、また日本で近未来もの(PLAN75みたい)として撮ったほうがよかったのではとか、なんかバランスの悪さを感じた。思えば他のどの監督よりドキュメンタリー的な立ち位置を持っていた監督で、ドキュメンタリーチック(つまりフィクション)なあやふやなラインは簡単に外国で移し替えはいかないもんだな、と思った。
個人的に最初の洗車のシーンで、これはきっといいシーンになるはずがなれなかったな、と。あそこが予定調和ではいけない。
あとやっぱり、ユリイカやドライブマイカーとか観てると、日本のカメラマンのほうがクルマを撮るのはうまいな、と思った。
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