「好奇心」ベイビー・ブローカー サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
好奇心
是枝裕和監督の初の韓国映画。主演は国民的俳優・ソン・ガンホ。カンヌ国際映画祭出品作品であり、上映終了後はスタンディングオベーションを長い間受けたという本作。
是枝監督の作品は、「万引き家族」「三度目の殺人」企画作品としては「泣く子はいねぇが」の3作品のみ鑑賞済み。当たり外れはあるけれども、どの作品も登場人物の心の強い揺さぶりがグッとくる。力強くもどこか悲しげな物語、そして社会風刺がお見事な監督ですので、本作もなかなか期待していました。しかも、ソン・ガンホですから。
そんな期待を裏切らない是枝監督、流石です。万引き家族よりも好きでした。
完全に韓国映画の雰囲気だし、完全に是枝監督の作品。両者の良いところが上手く噛み合っている。なんなら是枝監督は日本よりも韓国の方が合っているんじゃないかと思うほど、良さ全開の素晴らしい作品でした。ソン・ガンホということもあり、パラサイトのようなミステリーをイメージしていましたが、全然そういう作品ではなく、ホント「万引き家族」に近しい作品でした。ひとつの出会いで繋がる偽りの家族。家族とは何か、生きるとは何か。いや〜、染みたな...。
これもまた〈やはり〉なのですが、ソン・ガンホの演技力がもう凄まじい。この人が凄まじすぎるせいか、警察の2人の演技が超絶下手くそに見えてしまった。話し方でグイグイと引き込まれるし、焦りや苦しみがスクリーンを飛び越えて直に感じる。暖かく、どこか冷たい、そんな主人公を想像以上に熱演していました。自然とかそんなレベルじゃない。えげつない。俳優になってくれてありがとうと言いたくなるほど、とつてもない。この心に余裕がない様子が心えぐられるんですわ...。
人物関係にはずっと明かされないままでかなりの違和感を覚えつつ、前半のなんの動きもない物静かな雰囲気に苦痛を感じてしまいましたが、偽りの夫婦に出会ってから話が急激に面白くなっていき、そこからというもの一切の眠気を感じさせずラストまで駆け抜けていきました。万引き家族もそうだったんだけど、この監督はシリアスとコメディを掛け合わせるのが非常に上手いし、ラストに至るまで畳み掛けるようにテンポを早めて緊張感を持たせるため、すごく見応えのあるものになっている。緩急がすごいんです。劇場が笑いに包まれるほど笑えるシーンはあるし、押しつぶされそうになるほどキツいシーンもある。
関係の描きは疎かでありながらも、各々のキャラクター性は強く描かれており、どの人物にも感情移入が出来て好きになれる。血の繋がりが全てではない。人生は計画よりも無計画。人間ドラマとしてかなりの傑作だと思うし、今までの人間ドラマ映画が伝えたかったことがひとつにまとまった作品であると思う。と同時に、子育てがしずらく、あまりにも一人で請ける負担が大きい今の世の中に改めて問題を提議する社会風刺作品でもある。
脳裏に色濃く刻まれる作品。
少しベタ褒めし過ぎたかもしれませんが、カンヌ国際映画祭に出品されたのも大いに理解出来るものでありました。文句なしの大傑作!とまでは言えませんが、面白さも奥深さも保証されたよく出来た映画であることは間違いないです。見る映画を迷ったら是非。
こんばんはこんにちは😃イイねコメントありがとうございました。ソン・ガンホは好演最高ですね。おっしゃるように「シリアス&コメディ=考えさせる。ただ説教臭さではなく観客に感想、感じ方は任せる」個性的なキャラクターと韓国の風景がマッチして良い雰囲気でした。私も同意共感です。ありがとうございました。
\( ˆoˆ )/ヽ(*^ω^*)ノ