「今週は本命以上だと思うけど、韓国の地理に詳しくないと厳しい点も…。」ベイビー・ブローカー yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
今週は本命以上だと思うけど、韓国の地理に詳しくないと厳しい点も…。
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★ 6/30追記 ※ 他の方のコメント通り、誤りがあった部分を修正)
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今年181本目(合計457本目/今月(2022年6月度)28本目)。
…ということで、おそらく今週は本作品か「ロストシティ」かの2択(対抗に「神は見返りを~」が入るかな)というこれまた難しい週(競馬新聞の予想欄ではない…)。
いわゆる「赤ちゃんポスト」の韓国版をテーマに、俗にいわれる疑似家族を描いたという趣旨の映画です。
超人気作になることは期待できるし、特集や予告を一気に超えるようなことを書くとネタバレになってしまうので、そこは控えめにしなきゃいけませんよね。
タイトルにも書いたのですが、この映画はそれ自体、もともと本国の韓国で超ヒットしたのか、もともと韓国の方が(日本でいう高校地理程度の)いわゆる一般常識としての「韓国地理」を理解しているというのが前提な気がします。主要な舞台はプサンと言えますが、それ以外にも実にいろいろ出てきます。
個人的には、字幕が若干不親切な気がしましたが(プサンをはじめとしていくつもの街を移動するわりに、大半看板などの韓国語の翻訳がないので、何が何屋なのかさえ分からないし、「逃亡劇」で何を購入しているのかもわからない)、いろいろな事情で急ピッチで字幕を作ったのではなかろうか…(賞を取ったので)ということ、また、確かに字幕は不親切なものの、なくても理解に大きな妨げはでないという点も加味して減点なしにしています。
▼ 映画内で参照される内容
「傷害致死で…」 → 日本でいうなら、「保護責任者遺棄で」というのがわかりやすいです → ここは、ストーリー的に被害者は「保護責任者遺棄」の対象たりえないので、「傷害致死」が正しいようです(ただし、赤ちゃんポストに入れる行為自体は、それはそれで同じく(日本で言えば)「保護責任者遺棄」(に相当する罪には)問われます)。
(映画内、序盤で訪れる)「麗水」(ヨス)
→ 韓国では「海の街」として知られます(日本では唐津市と提携関係にあります)。日本であえてたとえばいえば、島が多く点在している長崎県のようなイメージです。
また、「2012年麗水国際博覧会」が開かれたように(海をテーマにした取り組みで構成されていた)、とにかく「韓国で海に関することなら麗水」というイメージです。
ここから映画内で最も訪れる、韓国第二の都市、プサンまでは140km(参考:新大阪~岡山が150km)。
海に接した街であるため、映画内で「カニでも食べようか」というのは、韓国では、ここ麗水名物のカンジャンケジャン(の中の、カニの中で「イシガニ」を使ったもの。直訳すれば「カニの醤油漬け」)が有名なところです。「済州4・3」事件とともに戦場にもなり(順天・麗水事件、1948年)、日本への脱出者が多かったため(「スープとイデオロギー」参照)、大阪市の鶴橋をはじめとしたコリアタウンでは「カンジャンケジャン」を見ることができます。
(ほか、気になったところ)
→ 「逃亡劇」の中で、この「疑似家族」が遊園地に行くシーンがあるのですが、妙なほどに古臭いというか、いったいいつの遊園地ですか??状態なのですが(別にさびているわけでもないが、2020~2022年という中では明らかに(日本でいえば)昭和の遊園地、みたいな感じ。射的だの輪投げだのどこの遊園地でやってるんでしょうか…)、そんなものなのでしょうか?