「疑似家族としての幸せや居心地の良さが伝わってこない」ベイビー・ブローカー tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
疑似家族としての幸せや居心地の良さが伝わってこない
1人の赤ちゃんを巡って、家族のような絆で結ばれた5人だが、ずっとこのままの関係が壊れないでほしいと思えないのは、どうしたことだろう?
一つは、赤ちゃんに対する母親の愛情が感じられないから。一度は捨てた赤ちゃんを引き取りに戻ったのは、自分で育てたいと思い直したからではなかったのか?それにも関わらず、せっかく赤ちゃんを取り戻したのに、ブローカーに積極的に協力し、赤ちゃんを高値で売ろうとする母親の姿勢には、どうしても違和感を感じざるを得ない。
もう一つは、殺人が絡んでいるという設定。これは、母親が赤ちゃんを捨てる動機にもなっているのだが、物語として飛躍しているし、赤ちゃんの誘拐や売買という犯罪に比べて、殺人という重罪を犯した者に対して、とても「逃げおおせてほしい」とは思えないのである。何よりも、警察が、殺人犯の逮捕よりも、赤ちゃんの売買の現場を押さえることの方を優先しているかのように描かれていることには納得がいかない。
そして、ラストに、結局、ああいう形で話が決着するのであれば、最初から、法を犯さずに養子縁組の手続きをする方法はなかったのだろうかという疑問が残るのである。
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