劇場公開日 2021年4月3日

「素朴という言葉を分解するようなお話」ブータン 山の教室 かせさんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0素朴という言葉を分解するようなお話

2024年7月21日
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鑑賞方法:VOD

素朴:飾らないこと。ありのままであること。

【ストーリー】
ヒマラヤをのぞむ山岳国ブータン。
首都ティンプーに住むウゲンは教師づとめをしながらミュージシャンをめざす若者。
だが勤務態度に問題ありと、標高5000メートル近い僻地のルナナへと転勤させられてしまう。
そこは校舎とは名ばかりの朽ちたあばら屋があるだけの、教室に黒板もないような廃墟だった。

ブータン王国。
かつてほほ笑みの国と呼ばれた山岳国。
ルナナ村は人口たったの56人。
明確に貧困のさなかにある村で、キラキラの目で未来や外の世界からきた「先生」に、無限の希望をいだく子どもたち。
対照的に、酒びたりであったり染みついた諦観であったりかつて村一番だった唄をやめていたりと、発言から一挙手一投足に鬱屈をかいま見せる大人たち。
皆やさしいのに、なぜそうなのかを考えさせる、都会っ子ミーツ田舎のテンプレ物語を、ていねいに現実的に語ります。

ラストはほろ苦いものですが、今の世界でルナナ村に希望を見いだすのは、監督の中でウソになっちゃうんでしょうね。
オーストラリアに全幅の信頼と未来図を描くのもウソになっちゃうだろうし、こういう物語はほんとうに、着地点がむずかしいです。

とはいえど、風景の雄大さ美しさは超一級品。
これを撮れるのはブータン王国だけ。
あの印象的なタルチョク(祈祷旗)をはためかせた墓廟は、エベレストのむこう側、中国領ではどんどん撤去されてしまっているとか。
昔、通っていた中華料理店の大奥さんが中国側(たぶんチベット自治区)の出身で、旅好きな又友人から写真をもらって、懐かしそうにふるさとを思いだされてました。
なぜかおかずを一品つけてくれて、サービスのいいお店だったなあ。
一度は見てみたい風景ですが、あのあたりに住むのは、空調の効いた清潔な場所ですごす日本人には想像もつかないような苦労があるんでしょう。

そんな見知らぬ世界に、心をとどかせてくれる映画です。

かせさん
はるたろうさんのコメント
2024年7月23日

コメントありがとうございます。歌もすごく良かったですね。ドキュメンタリー見てるみたいでした。

はるたろう
琥珀糖さんのコメント
2024年7月21日

こんばんは

共感とコメントありがとうございます。
美しい歌声が山に反射して響いてましたね。
ロマンスに発展することもなく、ちょっと残念。
一生涯で行けそうもない国を身近に見れるのも
映画のお蔭ですね。

琥珀糖
NOBUさんのコメント
2024年7月21日

こんにちは。
 いつもありがとうございます。
 今作は、世界で一番幸福度が高いと言われるブータンの魅力が詰まった映画だと思いましたし、なにしろ子供達(現地の子たち)の汚れ無き姿が心に沁みましたね。では。

NOBU
りあのさんのコメント
2024年7月21日

共感、コメントありがとうございます。
ペムザム可愛かったですね。
ブータンはまだ行った事無くて、国内でテントを背負っての縦走登山はした事があるので、それと似てるのかな、って思ったんです。
モンゴルには行った事有り、現地の人のゲルで寝泊まりさせてもらった事があります。
ヤギだったか、牛だったかのフン集め、手伝いました。

りあの