「【”先生は未来に触れることが出来るから・・と村人は尊崇の念を込めて青年に言った・・。”真の情と自然への畏敬の念を持つ村人の素朴な表情。真の幸せとは物ではなく、心にある事を思い出させてくれた作品。】」ブータン 山の教室 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”先生は未来に触れることが出来るから・・と村人は尊崇の念を込めて青年に言った・・。”真の情と自然への畏敬の念を持つ村人の素朴な表情。真の幸せとは物ではなく、心にある事を思い出させてくれた作品。】
ー ウゲン(シェラップ・ドルジェ)がうだうだ文句を言いながら、漸く標高5000M近くあるブータン辺境の地、ルナナに到着した時の、村人全員(50数名だったか・・)が、出迎えるシーンで、”グッ”と来てしまった・・。
そして、級長を務めている幼きペム・ザムさんが、飲んだくれの父がいるにも関わらず、ニコニコと笑いながら、”いつものように寝坊している”ウゲン先生を迎えに来たり、紙が無くなってしまったとき、徐々にペム・ザムさんたち”山の生徒”の魅力に惹かれていったウゲン先生が大切な紙を配ってくれた時の表情。
そして、ウゲン先生が”夢を叶えるために”村を離れる時のペム・ザムさんの眼が涙で赤くなっている表情や、彼女がウゲン先生に書いた手紙のモノローグのシーンで、もう涙腺が・・。ー
■感想
1.序盤のウゲンは、ブータンの今どきの普通の青年なのだろう・・。
その青年がオーストラリアに行って歌手になる夢を抱えながら、一週間もかけてルナナへ向かう時の態度・・。とルナナの村人たちと接して心の成長を遂げたウゲンの姿の対比。
ー 往:”おい、迎えのミチェン達は往復なんだぞ!と心中で舌打ちしながら鑑賞。せめてヘッドフォンは外せよ!”
復:キチンと峠で、神に祈りを捧げ、ケルンを積むウゲンの姿・・。ー
2.広大な山並みに向かって、セデュが歌う「ヤクに捧げる歌」の美しさと、ウゲンが念願のオーストラリアに渡って、パブでアコースティックギターをつま弾きながら”ビューティフル・サンデイ”を歌うも誰も聞かない中、オーストラリアのガイドの紙に書いた歌詞を見ながら、「ヤクに捧げる歌」を、アカペラで澄んだ声で歌うウゲンの姿の対比。
ー ウゲンがパブで「ヤクに捧げる歌」を歌うシーンは、彼が”自分の大切な場所は、ルナナだ!”と決断したシーンであると思う。ー
3.ルナナの子供達の、好奇心に溢れた表情の豊かさ。
ウゲンが夢を聞くと、言いよどむ子はおらず、”歌手になる!”先生になる!”と、明確に夢を口にする姿。
4.ゲームばかりしていた、ウゲンが電源が入らなくても気にせずになり、帰り際、埃が被った携帯にフォーカスするカメラ。
ー ウゲンの視野が広がり、人としても村人たちのお陰と、彼自身の努力で成長した事を暗示するシーンであろう・・。ー
5.夢を叶えるためにルナナを離れるウゲンがセデュに対し、
”首都ティンブーに一緒に来ないか・・”と誘った時のセデュの言葉。
”行かない・・。私はいつもここにいる。”
ー 劇中で、ウゲンの言葉が、”ずっと海外に住む”から、後半微妙に変化している。
私は村長の重みのある言葉もあり、”ウゲンはいつかブータンの外界を見て、故郷が一番良いと気づき、戻って来るのだろうな・・。
そして、そこにはきっとニコニコ笑っているペム・ザムさん始め村人達、そしてセデュが待っているのだろうな、と思ったのである。ー
<”真の豊かさ”とは、”物質的豊かさ”にあるのではなく、”心の豊かさ”にあるという、当たり前のことを再認識させてくれた作品。
村人たちの素朴な表情と、情の厚さ、心の寛大さを大スクリーンで観て、観ている側の心も浄化された作品。
ブータンの僻地ルナナの住民達を見守るように聳え立つ、急峻な雪山。
広大な自然の美しさも、この作品の醸し出す風合を忘れ難いものにしている作品でもある。>
こんにちは😃
先ほど、YouTubeにて観ました。村人の素朴な表情、観終わると豊かな気持ちになりました。険しい山道を歩いて、たどり着いた先に
かけがえのない存在、透き通るような歌声に出逢いました。
NOBUさんにそう仰って頂けて良かった!
ちょっとトンガリ過ぎた内容だったかな?と不安だったのですw
定期的に流行するレトロブーム・懐古趣味の指向現象に象徴されるようなフワッとした民意が好きじゃなくて。
その時代を生きた人間が、郷愁を懐かしむ事には意義がありますが、その時代を知りもしない世代が「昔は良かった」なんて語るのは強い違和感を覚えるのです。
(「3丁目の夕日」を絶賛する若者に共通している心理)
本作にも、似たような空気を非常に感じましてねぇ。
ちとアグレッシブなレビューと相成りました。(ヤンチャですみません(汗))
でも、監督の創作意図はそういうニュアンスではなくきちんと考えられたものだったので安堵しました。
娘の中学校の「夏休み自主参加プログラム」で、ブータンに短期ホームステイ&中学校通学体験する予定だったんですけど、コロナ禍で去年・今年と中止。
春には卒業してしまうので非常に残念です。行かせてあげたかったなー。
NOBUさん、コメントありがとうございます。
パブで「ヤクに捧げる歌」を歌う場面
ウゲンにとって
「帰去来辞」 を詠んだということ
だったのではないかなぁ と思っています。
”かえりなん いざ”
もちろん作中では描かれませんが
この後ルナナをウゲンが再び訪れる場面が
頭に浮かんできます。
(含む 願望)
〉長野には年に2回ほど
NOBU さんの「チェックリスト映画館」を見て、そうなのだろうなと思っていたのでお便りのつもりで塩尻市のことを書いたのです。
東奔西走ご活躍のNOBU さん、映画は独りで観る主義とのこと。
「間奏曲はパリで」のDVDを見ながらNOBU さんご夫妻ってどんなんだろうなーと、勝手に想像していたきりんです。
失礼!(笑)
将来の夢は?
王様にお仕えするの。
それじゃあ爪を切らなくてはね。
膝の上で爪を切ってやるウゲン。
国民幸福度向上を国是とするブータン。「国民の幸福は国ではなく国民が決める」というスタンスだそうです。
NOBU さんすでにご存じと思いますが、コロナワクチンについてのブータンの新聞記事を付記・追加しました。
絶句しました・・
NOBU さん、
レビュー読みながら僕も もう一度涙です(映画館でも中盤からずっと泣いてました)。
いつの間にか観ている僕の心も、ルナナの太陽発電で充電させてもらっていましたよ!