劇場公開日 2020年10月23日

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「空はあまり関係無いかな」空に住む aMacleanさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0空はあまり関係無いかな

2020年11月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

多部未華子、大森南朋さんとの絡みはほとんどなかったけれど、最近共演のドラマもなかなか面白かったので、勢いで観たのが正直なところ。けれど、思った以上に楽しめました。もともと大森南朋さんがお気に入りで、いかにもおじさんっぽい風体でありつつ、「ハゲタカ」の主人公鷲津のようにクールな感じもあり、魅力ある俳優さんですね。

さて本作、各シーンの長回しが特徴的。表にはあまり出ないけど、それぞれの心情を見え隠れさせる台詞が、無機質な高層マンションの部屋に漂う感じ。人気俳優を配しながら、なんだか文芸書のような匂いを漂わせる作品でした。この雰囲気は好きだなあ。

両親を急な事故で無くしてすぐ、資産家の叔父の持つ高層マンションに住むことになった主人公直美。郊外の小さな文芸出版社に勤めながら、愛猫のハルと孤独な都会暮らしを始めた。そこで起きる絵物語。

何かと騒がしい叔父夫婦(鶴見慎吾と三村里江)や、マンションに住む人気タレント(岩田剛典)、出産間近の妊婦である会社の後輩(岸井ゆきの)、どこかくせのある編集長など、キャラクターに囲まれて騒々しいが、主人公の直美はどこか空虚な印象のまま、物語は進む。それぞれの孤独な生活の穴埋めに交流があり、煩わしさが無い程度に付き合う。そんな生活に慣れそうで慣れない直美のちょっとした成長譚だ。

全体として淡々と話が進むので、少し飽きも来るが、終盤ある業者として出てくる永瀬正敏が良いクサビとなって、物語が締まった。映画の展開としては、もうひとつふたつ主人公を掘り下げる印象的なエピソードが欲しかったが、尺的には難しかったかな。

AMaclean