「貧乏くさくなくていい」空に住む Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
貧乏くさくなくていい
日本映画って鬱屈した感情をもった登場人物が涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら『うわあああああ』って叫ぶ感じあるよね。「はい、愁嘆場です」って感じの。それはそれで面白くていいけど、この映画はそういうのが一切ないの。そこは良かったな。
それと合わせて、金持ちの生活が描かれてるのもいいのね。貧乏くささがない。ヨーロッパ映画みたいなお洒落な感じもあるのね。
最初に多部ちゃんと岩ちゃんが部屋で話をするとき、二人のアップでカットが切り替わってるのみて「ゴダールみたい」と思ったの。部屋の灯りの感じがなんかそれっぽかったのかな。あと多部ちゃんの顔が実はヨーロッパっぽいの。
台詞が浮いてるのもいいんだよね。「日常で、そんな話し方しないよね」っていう話し方をするの。映画らしい映画っぽい。
エンディングテーマが三代目なんだけど、そこはどうかと思ったな。そこまで締まってた映画が、そこだけ緩んだ感じしたからね。
「何を言ってるか解らないけど、お洒落なこと言ってるんだな」って脚本だったから、これは青山監督の作・演出だと思ったのね。そうでないとOKでないだろうって。それでエンドロールみたら原作あるんだね。それに池田千尋さんが脚本で入ってる。
「原作はどんなんだろう」って読んでみたんだけど、原作はつまらないね。そこから設定の一部を借りて、大きく話を作り直した手腕はすごいよ。池田さんがやったのか、青山監督がやったのか解らないけど。
「これだけ話を変えて『原作』っていえるの?」って感じなんだけど、原作者は三代目にも詞を提供してる作詞家なんだね。そりゃ、イメージだけ残ればいいか。
筋を追いかけようと思って観たらつまらない作品だけど、フワフワした感じを楽しもうと思えば面白いんじゃないかな。
「スポンサー三代目なんじゃ?」っていうのは気付くとちょっとイヤになるけど、観てるときは気付かなかったから良かったよ。