「【"地に足のついた生活の大切さ" 様々な死、別れを経験しながらも、徐々に前を向いて生きていく女性の姿を丁寧に描いた作品。】」空に住む NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【"地に足のついた生活の大切さ" 様々な死、別れを経験しながらも、徐々に前を向いて生きていく女性の姿を丁寧に描いた作品。】
-郊外の"平屋"の"良い本しか作らない"小さな出版社に勤める直実(多部未華子)は、突然、交通事故で亡くなった両親の葬儀で涙が出なかった事に後ろめたさと戸惑いを抱えつつ、リッチな叔父夫婦の計らいで"有名なマンション"の高層階で新たな暮らしを始める・・。
15年間一緒に暮らして来た愛猫ハルと共に。
彼女の高層階の部屋から眼下に見える人気俳優時戸森則(岩田剛典)の顔が使われた広告塔。
そして、ある日、直実は同じマンションに住んでいた時戸とエレベーターで出会い・・。
■感想
・突然、両親を失ったら、涙が出ない事もあるのではないか。だから、直実が自分を”どこか冷たい人間なのでは・・・”と思いながら、淡々と生活する姿が、逆に彼女の両親への"深い愛"と悲しみを表していると私は感じた。その姿を多部未可子さんが、絶妙に演じている。
・そして、・愛猫、ハルを喪ってしまった直実の姿。だが、”再びの深い悲しみ”を抱えながら、懸命に生きようとする直実。時に、彼女の身を案じる叔母の行動を疎んじながら・・。
ー合鍵で、勝手に”他人”の部屋に入るのは、いけないよなあ・・。時戸との関係性も微妙になってしまうし・・。-
・時戸自身の口からも、自分を“地に足のついていない生活をしている”事を伺わせる言葉が出る。
ー時戸と直実との相手を探るような会話の遣り取りが面白い。似た者同士なのか・・。そこに惹かれたのか・・。ー
・後輩編集者、愛子(岸井ゆきの やはり、素敵な女優さんである。)が、作家、吉田(大森南朋)の子供を宿しながらも、直実以外には秘密にし(婚約者にも・・)、階段で破水するシーンでの、直実と愛子の遣り取りも印象的である。
-直実が、死を身近に二度も体験したからこそ、あの愛子への激しい言葉が出たのだと思う。-
<”直実はきっと、大丈夫だ。
何故なら、彼女はマンションの高層階に住んでいても、地に足をつけた生活の大切さを学んだのだから・・”と思った静謐な作品。>
NOBUさんへ
今晩はです!
共喰いって、菅田将暉だったんですよね…
彼も立派になったもんですw
この作品は、青山真治さんらしい「人格を彫り出す」的なもんは感じたんですが、率直に言うと主役が物足りなくて…
刺さらなかったのは、そのせいです、多分w