劇場公開日 2021年11月27日

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「貴重な記録映画」水俣曼荼羅 yesyesmasaさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0貴重な記録映画

2021年12月4日
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鑑賞方法:映画館

水俣病問題を風化させないための貴重な記録映画だと思う。水俣病の被害者の生の声を聞くことができる。被害者にはただただ共感。国や熊本県、企業を糾弾する支援者(活動家)の言動には違和感。「被害者支援」よりも「権力糾弾」が目的化している活動家たち。裁判に勝ったからといって熊本県知事に対して「土下座して謝れ!」はないと思う。支援者の怒号が、かえって権力者と被害者の距離を遠ざけていることに活動家たちは気づいていない。義憤にかられて怒りの言葉を権力者にぶつけているかもしれないが、本当に水俣病の被害者に寄り添うのであれば、支援者は見守りに徹し、被害者本人に思いの丈を語ってもらうべきだった。熊本県知事が患者に歩み寄り「あなたは土下座を望んでいますか。」と直接語りかける場面が印象的だった。
「怨」から「許し」への過程は、被害者それぞれ。「怨」を昇華させ「許し」の境地に至ろうとする被害者を「裏切り者」と批判するのは筋違いである。「怨」に一番執着しているのは支援者ではないか。「怨」はまだまだ続く。

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yesyesmasa