劇場公開日 2020年11月27日

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「負けても最高なんてスゲェー生きる道」アンダードッグ 後編 よしさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0負けても最高なんてスゲェー生きる道

2020年12月16日
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末永 × 龍太 = 前後編本作のすべて

おゝ、突然どうした --- と言いたくなるような、本作『後編』の幕開け、前半のあまりに唐突な滅茶苦茶さには正直、困惑と少し辟易とした。虐待ネグレクトにヤクザもの、暴力の過去か。が、後半からの武者震い。
龍太がなぜあそこまで、噛ませ犬で更に不甲斐ない試合をした主人公・末永に構い続けるかの理由が分かって、龍太のジムの前で顔を合わせる二人。このシーンが本当に最高で、構図としては向かい合った二人を、道路の向こうから捉えているのだが、それが単純に力の拮抗を表すわけでなく、若干画面左に中心・力点がズレていることで、現状落ちぶれた末永より若い龍太の方に勢いがあるのを含んでいるよう。そこからのステップ(?)を踏み、逆方向に走り始める二人を捉えるスローモーションがこれまた反則な気持ち良さで、個人的には試合本番より燃えたかも。いや、正直事情を知ったところで、龍太の過去は許せないし認められない、感情移入もできない。なのに引き込まれ始める自分がいた。特訓パートと満を持しての試合が今まで溜め込んできた分も全て解き放つように。前編のモヤモヤは確かに回収されていったかもしれないけど、【やはり末永昇と大村龍太の話に絞るべきだった】と感じた。
北村匠海の切れ味!普段、青空青春映画やつまらないメジャー映画に出ている彼は一度リング脇に置いてくれ。本作の彼は素直に良かった…。『前編』では観客が共感を覚えるように悶々と葛藤するのは主人公とヘタレ芸人・宮木の役割で、龍太に関しては特に情報もなく、ただただ生意気な感じで飄々とした風なイメージが残っただけだった(それも嫌いじゃない、むしろ良かったが)。いっそずっとこの髪型でいればいいのに。
特に宮木瞬(勝地涼)パートは改めて丸っと要らなかった気がしてならない。しかも、あれだけ前編の最後に宮木コール起こしながら、芸能界引退してるんかよ。ボクサーとしてそれだけ本気でしていたからということかもしれないけど。その気持ちを本作『後編』を見て、より強くした。だからやはり、後編の評価によって前編の評価が上がるものでもなく、むしろボクシングと性を同等に描いた前編に対してのモヤモヤはより増したかもしれない。
色々詰め込みすぎなのだ --- 例え、確かにネグレクトもヤクザによる暴力も、本作の軸となる龍太のバックグラウンドを重ね知る上では必要だとしても。キャラ描写・個性の際立たせ方が画一的・紋切り型な気がしてならなかった。この脚本家らしくまぁ泥臭く、日本映画らしく底辺からの輝き。ただ、試合シーンに関しては、主人公のコーチとの会話・セリフ祭要らなかった気がしてならなかった。あと末永・父もいざ息子が本気になり始めると結局あっさり応援していて拍子抜け。(黙って)パンチ出せ。
東京とボクシング。スカイツリーが度々映るのが印象的だった。なんだか見た勢いと熱量のままドバーッと書いてしまった。いつか清書でもしようかなと思ったけど、これはこれでありのままの思いの丈としていいのかも。

とぽとぽ