「宇宙に魅入られ、やがて軌道修正できなくなった宇宙飛行士」ルーシー・イン・ザ・スカイ kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
宇宙に魅入られ、やがて軌道修正できなくなった宇宙飛行士
事実にインスパイアされて作られたストーリーらしいが、それよりBeatlesの曲に影響された気がする。冒頭から宇宙遊泳しているルーシー・コーラ(ポートマン)。地球の俯瞰図から徐々に縮小していき、自宅まで眺めている。これは私の歴史・・・
結婚して6年になるルーシー。しかし、地上に降り立つと、骨密度や筋肉量の減少にもかかわらず、退屈な日常に我慢できなくなり、もう一度NASAのミッションを志願する。過酷な訓練、優秀な頭脳、しかしライバル多し、といった状況の中、社交的な同僚のマークからボウリングクラブに誘われ、そのまま不倫関係へ。そして、女性の志願者の中に強力なライバルが立ちはだかるといった展開。
ビートルズの「Lucy in the Sky with Diamonds」が聴けるかと思っていたら、まったくのカバー曲でした。母が危篤状態になったときも面白い映像表現だったし、大きな特徴がスクリーンサイズの変更。しかも、よくあるスタンダードサイズからスコープサイズといった単純なものではなく、1:1からシネスコ、さらに縮小、3:1、4:1などと縦横無尽に変化するのです。ルーシーの心象表現や地上生活とNASA生活の違いもあるんでしょうけど、前半では目まぐるしく変化するため『ゼロ・グラビティ』を観た時のように眩暈すら覚えてしまうほど。このサイズ変化だけは評価できると思う。
しかし、ストーリー展開はとんでもない方向へ。チェック項目を暗記している様子が何度も描かれますが、母の死というショックもあってかルーシーはおかしくなった?逆恨み、嫉妬、色んな要素が彼女を狂わせ・・・
姪っ子アイリスが微妙な役柄でしたけど、彼女も宇宙飛行士の道を歩むのか。いや、やっぱりルーシーをずっと見ていたのだから無理だよなぁ。で、3年後の養蜂場ってのは意外。防護服が宇宙服にも見えるし、結局はミツバチという宇宙に魅入られたのだろうか・・・