「人間って酷いね…」海辺の彼女たち 葵蘭シネマさんの映画レビュー(感想・評価)
人間って酷いね…
ベトナムから技能実習生として来日した、3人の女性たちの過酷な物語。
〝物語〟といっても、現実に1万人弱の技能実習生が低賃金や劣悪な待遇、ハラスメントを理由に失踪し不法就労者となっているそうで、この作品で描かれている事象はフィクションではなくリアルな現実だ。
3人のベトナム人技能実習生を演じたのは、ベトナムでのオーディションで選ばれた俳優たちだそうだが、これはドキュメンタリーではないのか?と錯覚してしまうほどの圧倒的なリアリティーがあった。
特にフォンという女性が、無音の中で重い決断を下すラストシーンは鳥肌ものだった。
安い賃金で使い倒すことのみを追求し、不法就労と知りながら雇う日本人雇い主。
同胞の困難につけ込むベトナム人ブローカー。金になれば在留カードの偽造も厭わない不良外国人。
「妹に自転車を」「兄弟を大学に」「親の借金を返したい」と日本にやって来た彼女たちを、寄ってたかって傷付けていく様は残酷だった。
ラストシーンまで、微かなの救いも与えてくれない作品ではあったけど、日本人がこの作品を撮り、コロナ禍の中でほぼ満席の観客がこの作品を観たということが、僅かな救いになるのかな…
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