「暴力ではなく彼らについて」スリー・フロム・ヘル Isamu Rhimeさんの映画レビュー(感想・評価)
暴力ではなく彼らについて
この映画は1作目と2作目が存在する続き物の作品だ。キャプテン・スポールディングを筆頭にした殺戮大好きのファイアフライ一家は2作目において警官隊の銃撃全身に浴びるもなんと生き残っていた!重症のまま逮捕され、裁判の結果キャプテン・スポールディングは死刑となり、オーティスとベイビーは刑務所に入れられる。
そして、15年の月日が流れ獄中でキャプテン・スポールディングスは死んでしまう。だが、オーティスとベイビーはオーティスの腹違いの兄弟フォクシーの協力を得て脱獄、3人は血まみれの逃避行を繰り広げながら一路メキシコを目指す。
1作目と2作目には私自身とても影響を受けていてロブゾンビへの感謝の念は無くならない。
1作目『マーダーライドショー』はゴアムービーの虜になった作品の一つ。当時それがカッコいいと思っていた自分には全く持ってベストだった。“怖い”や“ビックリ”の様なそれまで自分の知るホラーとは違い圧倒的な画面のカッコ良さに酔いしれた。ドクターサタンの登場は永遠に忘れないだろう。
2作目『The Devil's Rejects』は実は見た当時そんなにピンとこなかった。全体的に乾いた語り口のロードムービーは”映画的教養”(あえて言うが)の浅かった自分には退屈に思えた。しかし、ある映画批評家のレビューで感想は一変「なるほどこの様な文脈でこう見るのか!」と批評の面白さに気付かされた一作だ。
私の映画好き人生においてロブゾンビは始まりを司るうちの一人である。その彼が再びあの家族についての映画を作ると知った時はとても嬉しかった。
まず『スリー・フロム・ヘル』は極悪非道ファイアフライ一家の残虐ショーでは無い。勿論ゴアが無いわけではないしやる事なす事最低だ。罪のない一般人を人質にして容赦なく殺すし、、、待てよそのくらいか?とにかく善人でない事は確かだろう。
いろいろあってメキシコに向かった3人は退廃的な田舎町で楽しい一夜を過ごす。このシークエンスが特に印象的だ、3人は本当に思い思いに楽しい時間を過ごす。自分を受け入れてくれる人に出会ったり、一緒に飛ぶ友達も出来た。その時の彼らは暴力も何もないのだ。
もしや前に自分達がいたところが間違っていたのか??